第36話 友人の部屋

もう今となっては記憶も薄れるほど、昔の話を一つ。


まだサーフィンに熱中していた頃の友人の部屋が、とにかく出る部屋だった。

間取りは8畳間と、キッチン、トイレ、風呂と普通の間取りで、1階部分が貸店舗で2階がアパートになっていてそれぞれに3部屋ずつあり、それぞれに専用の外階段がありました。

友人は角部屋を借りていて、1階は空き店舗だった。


その頃は、携帯電話もポケベルもまだ出来ていなくて、連絡手段は家の固定電話だけでした。

まず、その電話の話を。

週末の海に行く相談や、遊びに行く話をするのに電話を掛けたり、掛かってきたり

それで話していると友人の後ろから子供の話し声が聞こえたり、女性が話しかけて来たり、もちろん友人は一人です。部屋には他に誰も居ないのに。

その声は友人には聞こえていなかったらしい。

そんな中で一番怖かったのが、電話を掛けた時に出たのが女性で、てっきり友人の彼女だと思い暫く話していたら、いきなり甲高い笑い声が響き渡り切れたことです。

もちろん友人の彼女ではありませんでした。


友人の部屋ではもっと不思議なことがありました。

友人の部屋で飲んでいると階段を上がってくる音が聞こえ誰か来たのかと思い玄関を見ていると扉の前まで足音が聞こえたのにも関わらずそれ以降何も音が聞こえず、不思議に思い扉を開けても誰も居ません。

こんなことはしょっちゅうで、風呂でシャワーが突然出たり、トイレの扉が勝手に開いたり閉まったり。


その頃の友人曰く、見たことはないと住み続けていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る