第35話 疳の虫

まだ物心がつくか、という頃の話。


その頃は癇癪持ちだったようで、当時母の故郷では疳の虫がいて、その虫を取り除けば治る。そう思われていた。


母の盆休みに、母の実家に帰った。


その実家の近所に虫退治をする家があった。


で、母にその家に連れていかれ、暫くするとお婆さんが現れて奥の部屋へ連れていかれました。


そこで、何か呪文の様なものを唱えられ、左手を握られて親指と人差し指の間をカミソリで少し切られました。


すると、その切り口から「芋虫」の様な虫が出て、チリ紙の上に置かれました。


虫を見ていると、今度は右手を握られ同じ事をされました。


二匹の虫がチリ紙の上でのたうっています。


その後、両手に包帯を巻かれ、頭をなでられた記憶があります。


手を切られたはずですが、不思議と痛くて泣いた記憶もありません。


岡山の田舎なので、その様な祈祷じみた風習があったのかは分かりません。


怪談ではなく、不思議な話で申し訳ないですが、今もあるんでしょうか…

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