第17話 心霊スポット

友人の話。


その日は土曜日、夜中の1時過ぎに家のインターホンが

ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン!

うるさい位に鳴り、機嫌悪くなりながら玄関のドアを開けました。

そこに立っていたのは、青ざめた顔の友人S。

怒りが心配に代わり、

「どないしたん?」

「まぁ、入りいな」

「わ、わ、わ、悪いな」

「何か飲み物ある?」

冷蔵庫からコーラを出して渡しながら

「めっちゃ、顔色悪いで。どうしたん?」

Sはコーラを一気に飲み干しました。

「もう一本飲むか?」

「たのむわ」

もう一本コーラを出してやりながら

「何があってん?」

しばらく沈黙の後にSが話し始めました。


「T町の廃村知ってるやろ」

「今夜な、会社の奴らと肝試しに行ったんよ」

「8時頃に着いて喋りながらまわって、最後に小学校に入ることになって」

「入ったんか」

「入った。男4人やし全然恐怖もなしに見て回って2階へ上がったんよ」

「今まで何回も行ってるけど何にもなかったから普通に見て回ってたのよ」

「でもな、今日は違ったんや…」


「2階の教室を順番に見て回り、あと一部屋で終わるって時に、なんか あかん! 入ったらあかん!って急に思って」

「他のやつらは何も感じてないのか気にせずに最後の教室の扉へ進んで行くし」

「その教室入らん方がいいぞ」

「なにビビってるん」

「いや、マジでやばいって。今まで感じたことがないものを感じる」

「まぁまぁ、この教室で終わりやし行こうや」

「そいつらが教室の扉を開けて入っていったんやけどな」


「音も声もせんのや」

「懐中電灯の明かりも見えんし、そいつらの名前を呼んでも返事も何もないし」

「その教室を覗いたらヤバい気がして、外に出て車のところで待つことにしたんよ」

「それが9時過ぎで12時まで車の中で待ってたけどあいつら出てこんのよ」


その当時は携帯電話もまだ普及してなくて、ポケベルが連絡の主でした。

「仕方なく公衆電話を探してそいつらのポケベルにメッセージを送ったんやけど」

「どうしよ、あいつら消えてしもた」


「そいつらの家に電話したん?」

「まだしてない」

「一回してみたら」

「そうやな… 電話貸して」

「ええよ」


Sはアドレス帳を出して電話を掛けます。

三人の家に掛けました。

三人とも家にいません。


「まずいな、見に行こか」

「いや、ほんまにヤバいって」

「三人置き去りやろ、そっちの方がまずいって」

Sをなだめ廃村に行くことにしました。

Sの車に乗り私が運転をして山に入っていきます。

4時頃に廃村の小学校の前に到着。

辺りを伺いますが誰も居ません。

さすがにSは学校に入りたがりません。私も一人で入る勇気はないので明るくなってから入ろうと話し合い朝を待ちます。


6時頃明るくなったので、Sと入り目指す教室へ。

Sの話の通り一番奥の教室の扉は開いています。

まず教室の中を覗いてみましたが、特に何もなく三人も居ません。

教室の中に入り探してみますが隠れるところもなく見当たりません。

周辺も探してみましたが、やはり三人は見当たりません。


家に帰りもう一度三人の家に電話で確認しますが、三人とも帰っていません。

Sは昨夜の話をそれぞれの家の方に話しました。

結果ですが、それぞれの家族から捜索願が警察に出され、Sは警察に事情聴取をうけました。

警察はSが三人をどうにかしたと思ったらしい。

その後今に至るまで三人の足取りは解ってません。


Sも事件のすぐ後に消息が分からなくなりました。今に至るまで…

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