第15話 友人の家

この話は自分で体験した話ではないですが友人の中村君が現在進行形で体験している話です。


中村君とはあるスポーツがきっかけで知り合い話しているうちに仲良くなったのですが、ある日中村君の家へ初めて遊びに行きました。

その家の外観は田舎なら何処にでもあるような木造の一軒家でした。家族は両親と祖父母という一見普通に思える・・・ただ中村君の従兄妹がなぜか一緒に住んでいました。


中村君の部屋で色々と話していて、ふとトイレに行きたくなり場所を聞いてトイレに行き又部屋へ戻ろうとしたときにその従兄妹と廊下ですれ違い、何気に視線を感じて振り返るとその従兄妹は睨みつけるように此方を見ています。何か背中に寒いものを感じるような視線に恐怖を覚えながらも中村君の部屋へ戻り今の話をしました。

「廊下で従兄妹さんとすれ違ったけど睨まれたけど何かした?」

「あぁ、あいつは見えなくてもいい者が見えるらしい。そのせいじゃない?

変なのがくっ付いてるとか?」

と中村君は冗談交じりに教えてくれました。

「小さいころから見えてて自分が招き寄せてるとか言ってたな。家の中にも何人か来てるとか言ってる。」

「中村君は見えたりしないの?感じたりとか?」

「う~ん、見えも感じもしない。」

あまり興味もなかったので話題を変え、色々と夜中まで話し込んでいましたがやがて眠くなり寝ることに。

部屋の明かりを消し眠りに入ろうとします。

ウトウトしかけた頃に廊下を裸足で歩く音が2,3回行ったり来たり。

何?と思い耳を澄ましてみますがそれ以降は足音もせず眠りに落ちました。

そのまま朝を迎え朝食をご馳走になり帰りました。


暫く経ったある日中村君と遊んでいると何か元気がないように見えたので

「どうしたん元気ないね?」

「最近ちょっとね」

「何々?」

「実は最近寝ようと思ったら何かが廊下を裸足で歩き回るんよ。最初は家族の誰かかな? 程度に思ってたんやけど、裸足で歩き回る家族はいないんよ。

気になって足音がしてる時に起きて行ってドアを開けてみたけど誰も居らんの、電気も消えてるし。

それがほぼ毎日でな」

「そう言えば従兄妹の子が見えるとか言ってなかった? 聞いてみた?」

「まぁな、聞いてみたけど目を伏せて震えとるんよ。

で、聞き出すと何か質の悪いのが居付いたみたいって言うわけ」

「あいつは払ったり出来ないらしいから震えて知らないふりをしてるって言ってた。」

「そんな事があったんや、坊さんに聞いてみたら?」

「そうやね。行ってみる。」


次に会った時、中村君がすごく窶れていてビックリし話しかけました。

「なんか窶れてない?」

「あぁ、前にも話したっけ? 毎日足音がするって。それが、徐々に酷くなってきたんよ。部屋に入ってくるわ、寝てると上に乗って首絞められるわ。

幸い他の家族はたまに気配を感じる程度なんやけどな。従兄妹はたまに被害にあってるらしくって来週からお寺であずかってもらうんや。」

「すごい事になってるんや!」

「この前、和尚さんに相談してお札もらって貼っても効果なしで、お祓いもしてもらったんやけどそれも効果なし。」

「他所に泊まっても憑いて来るん?」

「いや、試した事ない。」

「なんやったら今日、家に泊まりに来てみる?」

「泊まっていいか? 何か起きるかもしらんで」

「ええで、泊まりにおいで」

そう言う事で家に泊まりに来ました。


「お邪魔します」

「上がって上がって!」

私の部屋へ行き中村君を元気付けるために色々と話をしました。

夜も更け眠気がしてきたので寝ることにしました。

その夜は何も起こらず朝を迎えられました。中村君も久しぶりにゆっくり眠れたそうです。

「試しにもう一日泊まってみる?」

「迷惑やなかったら、たのむわ」

「ええよ」

結局二泊しましたが何も起きませんでした。


次の週末に中村君と会い、状況を聞きます。

「あれからどう?」

「三日ほどは何事もなく過ごせたけど、また来だした」

「家を出てみたら?」

「そうやね、何処かに部屋を借りるかな」

早速、部屋を見つけ引っ越したらしい。


中村君が引っ越ししてからひと月ほど経ったある日、中村君から電話があり

「もしもし、どうしたん?」

「あかん! 追ってきよった!」

「それでな、知り合いの伝で霊能者を紹介してもろたんや」

「それで?」

「今週末に来てくれることになったんやけど、来るか?」

「おぉ、行くわ」


週末に中村君のアパートへ行き部屋に招き入れられ、入った途端に背中に寒いものを感じました。何かあまり居たくないと言うか? あまりいい感じは受けませんでした。暫らく中村君と話をしてると霊能者が到着し玄関のドアを開けるなり

「君! 大丈夫か!」

二人とも

「はぁ~? 何がです?」

「凄いもの憑いてるな!」

「うちの寺へ行こう、すぐに」

三人でお寺へ移動してお堂で待っているとお弟子さんを三人引き連れてきました。

四人で中村君を取り囲み、除霊?が始まりました。

私はどうなるのかと少し離れて見守ります。

昼にお寺に入って、終わったのは夜になってからでした。

住職の話によると

「中村君に憑いていたのは、中村君のご先祖様やね。だいぶ前の人で兄弟でいざこざがあって殺し合いになり、その時に殺された方で中村君の家をすごく恨んでるね。一応除霊は出来たけど、浄霊はむりやった」

「このお札とお守りを渡すから、お札は部屋に貼って、お守りは肌身離さずに持ってるように」


それからは何も起きていないみたいですが、中村君は定期的に住職のところへ行きお守りと、お札を新しくしてもらってるみたいです。お守りを持つのを忘れたらどうなるのか?

先祖に恨まれる家系とは、中村君の無事を祈るばかりです。




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