私的 スーパーコンピューター論

いわのふ

第1話 私的スーパーコンピューター論

私的 スーパーコンピュータ論


 みなさん、スーパーコンピュータというと凄い、と思うかも知れない。


 しかし、技術者はスパコントップ、とか言っても、「ふーん、またか」としか思わない。それは確かに90年代のスパコンは凄かった。でも今ではそうでもないのである。


 ごく家庭にあるパソコン用の計算装置を何万個も並べてるだけなのだ。昔のスパコンのように一台でパソコンの万倍も速度がある、とかいうものではない。


 これほどにまで多くの計算装置を並べると故障確率は何万倍にもなる。つまり、稼働時間が短いのである。家でもよくあるだろう、パソコンがフリーズして止まってしまうこと。


 なので、せいぜい数十時間とか保証された時間しか動作しない。よほど、日米の工夫されたスパコンなら話は別で、故障した回路を別な回路が代わりになってくれるのだが、中国製とかはその範疇ではない。


 おまけにこれだけの数の演算装置を並べると、同時に動作させるのはほぼ不可能に近い。つまり、よほど工夫を凝らしたソフトでなければ速くは動作しない。それは開発コストが高くつくし、だからといってソフトが多量に売れるわけではない。したがって、ソフトは自主開発か、開発に莫大な金を支払うか、よほど利益の出る産業がコマーシャル的に使うだけとなる。


 なので、気象庁の予報官はおそらくは渋い顔をしてるに違いない、と思うのである。彼らにとってほしいコンピュータは一台の速度が速いコンピュータである。でないと、解けない、あるいは解けてもコストに見合わない高い買い物になってしまうからだ。


 数ある中でも気象問題ほど解くのが難しい課題はない。だから、週間天気予報はあてにならない。まあ、少なくとも日本のような気候ではあたりにくい。砂漠地帯だというのなら話は別だが。


 ところがだ。いわゆる人工知能的な課題に対しては絶大な威力を発揮する。なので、データを単に処理して分類するだけのいわゆるAI産業は欲しがるのである。

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私的 スーパーコンピューター論 いわのふ @IVANOV

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