最終章『黒曜のサナトリウム』(1)



 わたし――〝示方潺〟の計画が上手く行くかは、わからない。

 

 命砥自身が〝生きる〟ことを真剣に考えていなければ、彼は〝孤独な四九年〟を生きなくてはならない。

 生きる理由も無いままに。

 閃祈が隣にいないままで。

 でも、そんなことはないはず。

 彼は、きっと〝自身の生き方〟について考える。

 最期の閃祈を見て、もしかしたら彼は〝自分の命〟を差し出してしまうかもしれない。

 そのときは――閃祈。

 貴女が、彼に〝生きること〟を教えてあげてください。

 なぜなら黒曜館に与えられた使命、そのうち秘密にしている一つが――彼に、生きる理由を見つけさせるための〝療養所(サナトリウム)〟なのですから。

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