第771話 bijuo…装飾宝石
bijuo…装飾宝石 日本語でそのままビジュー。ところで、外国語を日本語化するのは、古典落語を演じる噺家に似たようなところがあります。今生きてる人間で、江戸時代の吉原とか長屋を知ってる人間はいないんで、しょうがないから勉強する。こんちわー、大家さんいますか、って長屋の熊さんが声を出したとき、大家さんはどのくらいの広さの家に住んでて、どのくらいの声なら届くか、ってことを考えながらやる。ニューヨークの地図を眺めながら日本語化するようなもんやね。今はネットでいろいろ検索できるから、諸外国の現状についてはわかるんだけど、1950年代のアメリカを舞台にしたハードボイルド小説の土台を調べるのは難しいね。当時の警察組織とかね。それから、体験できるものは体験する。人を殺すという体験は普通の人にはできないので、猫を殺す……いやそれもダメだね。殺人犯の話を聞く、とかかな。要するに、女子高生の体験をしたことがない人は、女子高生に話を聞くしかない、ってことだよ。ファッション・アパレル用語は、けっこう面倒くさいんだけど、知ってて(体験して)書いてる人と、勉強して書いてる人は違ってて、元のテキストが解釈できないまま日本語化してるな、と、読者に思われてはいかんのね。ビジューのついた服は、普通は成人女子には着られる(体験できる)機会があるけど、男子や女子高生の場合はどうだろう。今回はファッションを含む衣食住の描写が女子的にしっかりしている小説、『シンデレラの宝石店』(河合ゆうみ)から拾ってみました。胸もとにビジューのいっぱいついたロングドレス。わお。こういった描写が実に見事になごんでいる(描写的に浮いてない)のに感心する。
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