歪なカケラたち

素人。

ファイブロライト(宝石言葉…警告)

海と山に囲まれ、オレンジの収穫が盛んな

この土地に"音花高等学校"。

別名オトハ高 がある。

今年から高校一年生になった俺、

"日高海斗"は、ゆるい坂道を自転車を漕ぎながら上っていた。


いくらゆるい坂道だからといっても、この春の日差しはきつい。

まだ四月だというのに、俺の顔からは汗が吹き出している。


「暑いな…」


着いたらすぐシーフリース付けとかないと…

入学式の次の日から早々、クラスの女子に汗臭いなんて思われたくないからな…


「おっはよー!海斗!」

「おぉ、おはよ」


このポニーテルしてるやつは俺の幼馴染。

"羽鳥結衣"。


「もう何部に入るか決めたぁ?」

「まだ。結衣は?」

「俺もまだぁ」

「そっか」


そう。"俺"。先ほどポニーテルしてる"やつ"といったのは結衣が男だからだ。


「結衣さ、高校でもその髪型でいくのか?」

「もっちろん!」


決して結衣はあっち系ではない。

しかし、小さい頃から女の子のような顔で、

そういった服もよく着せられていたという過去が、今のこいつを作り上げてしまったんだろう…。


「高校に入っても海斗と同じクラスだとは思いもしなかったなぁ」

「田舎の高校で人少ないし、しょうがねぇだろ」

「でも琴音ちゃんとクラス違うじゃん俺たちぃ…って、あ!あれ琴音ちゃんじゃね?」

「あ!海斗くん!結衣くん!おはよー♪」

「あぁ…はよ」

「おっはよ〜琴音ちゃん♪」


"佐原琴音"。

正直言って俺はこいつが嫌いだ。

ぶりっ子だし、思ってもないこと平気で言う奴だし、そして何より…


「あー疲れた。なんなの今日告ってきた奴。

入学式の翌日に告るとかマジないわぁ、、 ねぇ!どう思う?海斗」


こいつは裏の顔がひどい。

だから俺は嫌いだ。


「うるせぇな…いちいち人ん家に来てまで言うことかよそれ。」

「うっわぁ〜可愛い可愛い いとこに対して

なんなのその態度!つめたー

そんなんだから彼女もできないんだよ〜」

「あー!うるせぇ!そこには触れんな!」


ほんとに嫌いだこいつ。






プルルルルップルルルルッ


「…はい。日高です。」

「…」

「もしもーし?」

「…」


なんだこいつ


「電話誰からだったの?」

「知らねー人。間違えたんじゃね?」

「ふーん、、あ!そだ!聞いてよ海斗〜…」



もし、あのとき電話に出ていなければ

"日高です"って言わなければ…



俺は今頃どうしてたかな。




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歪なカケラたち 素人。 @shirouto-nandesu

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