第7話
遅いな~ 約束の時間まであと30分しかないのに。いや、普通は10分前とかそのくらいよね。私が早く来すぎただけか~
そう思っているとたっちゃんからメールが来た。その内容は寝坊したので少し遅れるということだった。私はただ「分かった」とだけ打ち返信した。
さ~てと、ただでさえ早く来すぎてしまったのだ。これから何をして暇をつぶそうか。一応本は持ってきていたので、近くのベンチに腰掛けて読書を始めた。
本を読み始めてから何分経っただろうと思ってスマホで時間を確認すると画面は8:58になっていた。あと120秒以内だったらセーフだけどたぶん間に合わないだろうな~
結局、9時までにたっちゃんは来なかった。たっちゃんは私が読みかけの本を読み終わる頃に汗だくで走ってきた。
「ごめん!!」
「別に、大丈夫」
「もしかして・・・ 怒ってます?」
約束に間に合わなかった罰として怒ったふりをしてあげよう。私は少しだけ、たっちゃんに意地悪をすることにした。
「全然。怒ってないよ?」
やばいな、利佳結構怒ってるぞ。どうしよう~ いくら、あの頭痛のせいだといっても好きな女の子との約束に遅れてしまったのだ。
「ほんとにごめんなさい。もうしません。」
なんか、幼稚園生が謝ってるみたいでかわいいかも。たっちゃん可愛すぎるからゆるしてあげよっかな~
「じゃ、目つぶって。そしたら、許してあげても良いよ」
え、目をつぶる? まさか、僕にキスでもするのか? なんて、淡い想像をしているとおでこに‘ペシッ‘っと軽い衝撃が走る。
「いたっ。なんだ、デコピンか~」
少し、期待してしまった自分が恥ずかしかった。
「もしかして、キスでもすると思った? 残念でした~ キスは気が向いたらしてあげても良いよ」
「べ、別にキスとか期待してなかったもん」
「たっちゃん可愛い~」
「そんなことより、どこか行こうよ。時間が無くなるのは早いんだからね!」
と、色々あったものの僕たちは服を見に行くことにした。もちろん、服とは利佳の服のことだ。僕があまりにも利佳の試着をほめるものだから、店員さんに「いい彼氏さんをお持ちですね」といわれた。
二人して、顔を真っ赤に染めてしまった。僕はカップルに思われて嬉しかったのだが、利佳はそう思われて嫌じゃなかっただろうか? とても不安になってしまった。
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