果樹園(物語詩)

少女が一人 果樹園に入ってきた

少女は木の周りで 無邪気に遊んでいた

草むらの中で少女は 少年と出会った

二人はじゃれあいながら 辺りを走り回っていた

落ちている実を見つけて ここが果樹園だと気づいた


風景は遠く消えていく

いつかは果樹園で会えるよ



二人は疲れたふりをして 根っこの上で眠り始めた

空は黄金色にかすみ 影を失っていた

見た夢は 知っている唯一の物語だった

目を覚ますと もう風景は変わり始めていた

ずいぶん前から どこから来たのか忘れてしまっていた


風景は遠く消えていく

いつかは果樹園も消えるさ



少女はいつのまにか 少年がいなくなったことに気づいた

立ち上がると悲しそうな目で 果樹園を眺めていた

草むらの中を透明な風が 通り過ぎていった

少女は穏やかな顔をして 自分の体に触れていた

静けさに包まれた時 少女の姿は消えていた


風景は遠く消えていく

いつかは果樹園に帰るよ



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る