第23話-13
目を瞑って。
それはつまり――。
そういうことだろうか。
みゆき。
一時の別れに。そして、他の男に嫁ぐ前に、それだけは俺に捧げたい。
そういうことなのだろうか。
そんな風に思ってくれる彼女のことを俺は素直に愛おしいと思った。
けれども、だからといって、彼女のことを本当に異性として愛していると、はっきりと言い切れない。
だから――。
「……分かった」
俺は言われるままに目を閉じた。
そして、みゆきがしようとすることに身を委ねることにした。
目を閉じた俺から離れるみゆき。
そして――。
「タカちゃん。歯を食いしばって」
「……歯?」
「うん、歯」
言われるままだ。
俺は歯を食いしばった。
思いっきり奥歯を噛みしめて、みゆきが他の男に嫁ぐことに対する怒りを噛みしめた。噛みしめながら――。
「……あの、みゆきさん、これってもしかしてだけれど」
「タカちゃん!! 腹に力入れろぉっ!!」
ドゴォッ!!
俺のレバーに、みゆきの重いボディーブローが炸裂した。
「今回ばかりはちょっと私もオコだよ!! ぷんぷん!!」
「げぶらぁっ!!」
更にワンツーで繰り出される、顔面へのストレートパンチ。
それを喰らった瞬間――。
俺は自分の意識を手放した。
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