第23話-4

「……そんな後ろ向きなプロポーズ、聞きたくなかったよタカちゃん」


「……後ろ向きじゃない!! 俺たちが、前を向いて進むために、どうしても必要な儀式なんだ!!」


「とりあえず結婚してから愛があるか確かめる。そんな結婚したくないって、タカちゃん言ったじゃない!!」


「あぁ、言った!!」


「言ったのに、どうしてそんなこと言うの!! 分からない、私、言っていることが分からないよ!!」


 だん。

 机を叩きみゆきがかぶりを振る。

 そのまま、教室から逃げ出そうとした彼女を、俺はすかさず抱き留めた。


 言葉では伝えられない――。


 幼馴染だからこそ伝えることのできる、肉体言語で伝えるべく、俺は彼女の体を力強く抱き留めた。


「……タカちゃん」


 呟いて、みゆきが言う。

 ほろりと目の端から涙を流して、彼女は俺の方を振り返った。


「……本気、なんだね」


「……あぁ、本気じゃなければ、こんなこと、口にしないさ!!」


「「「なんなのこのシリアス!! どうしたのさタカちゃん!!」」」

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