第23話-3
そう、今回ばかりはクラスメイトの言う通りだ。
新妻属性を検証するために、結婚しなくてはいけない。それは、なんというか、大きな矛盾をはらんでいる、そんな感じの選択であった。
そもそも俺たちは、納得して結婚するために――二人の間にある感情が、確かに愛情だと確かめるために――こんな属性検証を繰り返してきた。
属性検証により、お互いの間に確固たる愛情が確認できた時、晴れて結婚することができる。
それが大前提としてあるのだ。
だからこそ、今の今まで、この属性について検証することを悩んできた。
だからこそ、これを検証しようと、みゆきに言い出せなかったのだ。
しかし、今のままでは終われない。
俺たちの関係を発展させずに終われない。
だから――俺は心を鬼にして、今回の提案を口にした。
「みゆき、そういうことなんだ、結婚してくれ!!」
「……タカちゃん。愛のない結婚に、意味はないと言ってさんざん属性検証してきたのに、諦めちゃうの!!」
「諦めるんじゃない!! これは――新たな挑戦なんだ!!」
そう、挑戦なのだ。
守りに入っていてはダメだ。
人間は傷つくことを覚悟してでも、前に進まなくてはならないのだ。
タカちゃん。
そう言って、俺を見るみゆきの瞳は、いつになく寂しげだった。
そんな寂しい顔をするなよみゆき。
俺だって、こんなつらいこと、本当は言いたくないんだから……。
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