第22話-11

 生徒会長、三島隆一が腕を組んだ。

 彼は、うぅんと唸ってから、俺とみゆきの顔を交互に見てきた。


 どうやら――俺たちの交渉に耳を傾けてくれる気はあるらしい。

 流石は生徒会長、人の話を聞く度量は持ち合わせているようだ。


 その辺りは、一人の人間として素直に彼のことを認めよう。


「幼馴染の壁を破りたい。なんだかよく分からないけれど、そのために生徒会長の職が必要なんだね」


「そうなんだ!!」


「私が生徒会長になって、タカちゃんが副生徒会長になって――王道学園ラブコメをやりたいんです!!」


「そして、お互いの気持ちが、友情か愛情か切り分けたいんだ」


「……分かった。そういうことなら、困った人間を助けるのも僕の役目」


 一肌脱ごうじゃないか。


 そう言って、微笑む三島生徒会長。その力強い笑顔は、なるほど――これが生徒会長のカリスマかと、俺の肝を寒からしめる何かを秘めていた。


 恐ろしい。この男、まぐれで生徒会長を拾ったのではない。

 やはり天賦の生徒会長なのだ。


 しかし――だからこそだろうか。

 彼が俺たちについて協力を申し出てくれたのが、なんだかたまらなく嬉しかった。


 ありがとう、生徒会長。

 俺たちのためにありがとう。

 あんた、生徒会長だよ。間違いなく、俺たちの生徒会長だよ。

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