第22話-10

 くそぅ、なんてことだ。

 まさか生徒会長と副生徒会長が、みゆきを上回る学力だったなんて。

 学力でマウントをとって、生徒会を乗っ取る算段がご破算だ。


 しかし……。


 ここで諦める訳にはいかない。


 俺たちは属性研究のために、この生徒会を乗っ取らなくてはいけない。

 みゆき生徒会長を爆誕させ、俺が副生徒会長になり、そして支える。

 生徒会ラブコメのために……。


「生徒会長を譲ってもらう!!」


「譲ってください生徒会長!!」


「えぇ……」


「そんなぽんぽん譲っていいモノではありませんことよ!!」


「二人の間にある愛を確認するために、どうしても生徒会長の肩書が必要なんです!!」


「幼馴染の壁を、俺たちは越えたいんです!!」


 負けられない、譲れない。

 そんな事情がこちらにもあるのだ。


 たしかに学力は上かもしれない。

 けれども――。


「「貴方たちに、そういうややっこしい事情はないんでしょう!! だったらお願い譲ってください!!」」


 俺とみゆきは声を大にして頼んだ。

 だって、ラブコメする必要がないのなら、生徒会長の肩書も、生徒会室も、必要ないじゃないか。だったら、譲ってくれてもいいじゃないか。


 俺たち生徒会ラブコメを求めている生徒に譲ってくれてもいいだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る