第22話-4

 俺たちの登場に、手にしていたマグカップを執務机に置く生徒会長。


 そして、手にしていた木製のお盆を落とす副生徒会長。


 顔を真っ青にしてこちらを見る彼らに、俺は――まったく面識もないのに勝利を確信していた。そう、まったく面識もないのに。


「お前が生徒会長か!!」


「……ふぇえっ!? あ、あぁ、そうだけれど!!」


「生徒会長の職を譲ってもらいに来た!! 大人しく、その職を譲ってもらおうか!!」


「譲ってください生徒会長さん!!」


「え!? え!? え!?」


 困惑した表情で、俺とみゆきを交互に見る生徒会長。


 この程度の会話で混乱してしまうようでは、もはや、最初からこの男に、生徒会長という大任は務まらない。


 俺たちがその職を奪いに来て逆に良かったというものだろう。

 少し罪悪感もあったのだが、腑抜けぶりにそんなものは吹き飛んだ。


 こんな男に生徒会を――いや、この学校を任せておけない。


 否。

 大義名分はどうでもいい。

 いま俺たちに必要なのは――。


「幼馴染の壁を突破するために、生徒会長属性が必要なんだ!!」


「必要なんです!!」


「そんなことのために来たの!?」

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