第22話-5

 狼狽えて、わなわなと身体を震わせる生徒会長。


 震えた腕が机に当たり、せっかく置いたマグカップを揺らして、黒い汁を飛散させる。うむ、なんと分かりやすい小心者びびりだろう。ますますもって、こんな小心者チキンに、生徒会長なんて大役を任せておくことはできない。


 みゆきのことがなくても、早急に彼から生徒会長の座を奪わなくては。

 でなければこの学校に未来はない。


「生徒会長!! 悪いが、今日でお前はお役御免だ!!」


「えぇっ!? 解散総選挙もしてないのに!?」


「どうせ生徒会長なんて誰がやっても同じとみんな思っています。途中交代しても誰も気にしません――だから安心して辞めてください!!」


「限りなく事実だけれど、はっきりと言わないでくれる!! 傷つく!!」


「「そして今日から、この姉川みゆき生徒会が――タカちゃんとみゆきのラブラブ生徒会が始まるのだぁ!!」」


「なんなのラブラブ生徒会って!? エッチなのはダメだと思うよ!!」


「ちょっとお待ちなさい!!」


 どん、と、脚を踏み鳴らしたのは金髪縦ロール。

 なんと、生徒会長よりも生徒会長らしい気迫のある女であった。


 この女――まさか。

 いや、ひょっとしなくても。


「そのような暴挙!! 副生徒会長――竜道寺麗華が許しません!!」


「……やはり!!」


「……副生徒会長!!」

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