第20話-13
「いや、すまない。まさか、そんなに驚かれるなんて」
「生まれついてのアイドルだったのか、児島くん!!」
「なんだかパッとしない感じで、本当にアイドルなのって思っていたけれど、生まれついてのアイドルだったんだね、児島くん!!」
「……うん? まぁ、なりたいと思ってなった訳ではないのは本当だ」
けろりとした顔で言うのが、またなんとも真実味がある。
こういうのに限って、時代の寵児になったりするから世の中は怖い。
そうか、気がついたら自然とアイドルになってた系か。
「ふむ。そういう訳なので、どうやってなるかと言われても、普通にオーディションに応募して、頑張ってくれとしか言いようがないんだ。すまない」
そう言って頭を掻く児島くん。
なんでもない、そして、親近感の湧くそぶりだけに、その言葉が信じられなかった。
身近になり、誰でもなれるようになったと思ったアイドル。
だが、そんなことはなかった。
やはりトップアイドルになるためには、それなりの素質が必要なのだ。
「アイドルは一日にしてならず、か」
「奥が深い世界だねタカちゃん」
「うん? いや、一日してはならずだが、言うほど苦労した覚えは――」
それ以上、なるべくしてアイドルになった男の声は、俺とみゆきの耳に入っては来ないのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます