第20話-14

 かくして、俺たちのアイドル属性検証は、徒労の末に幕を閉じた。


 お土産に持たせた伊勢茶を手に、どうもお役に立てずに申し訳ないと、トップアイドル――児島悟志は俺たちに頭を下げてその場を去るのだった。


 その背中には確かにトップアイドルの風格が漂っていた。


「アイドル、なんて奥の深い属性なのだろうか」


「簡単になれるなんて思った私たちが浅はかだったねタカちゃん」


「「「呼んだ相手が悪いよ!!」」」


「しかし、みゆき――確かに本物のアイドルにはなれなくても、お前は、俺にとって大切な幼馴染アイドルだよ」


「……タカちゃん!!」


「……みゆき!!」


「タカちゃん!!」


「みゆき!!」


 気軽に抱きしめあえるアイドル。今はそれだけで満足するとしよう。

 それにもしかしたら、そんな時代が将来くるのかもしれない。


 その時、みゆきが人にハグされて許せるか許せないか。

 あらためて考えればいいだけだ。


「しかしできれば、いつまでも俺の幼馴染アイドルであって欲しいがな」


「……もうっ、タカちゃんったら」


「「「もういい加減にして!!」」」


【第二十話 おわり】

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