第20話-12

「そのオーディションはなんで受けたんですか!?」


 みゆきがキラーパスを繰り出す。

 そうだ、受けたからには、その受けるに足る理由が存在するはずだ。


 アイドルになりたくもないのに、オーディションを受けるはずがない。


 そう。

 受ける。

 はずが。

 ないのだ。


「いや、友達――いや今の彼女が、勝手にオーディションに応募して」


「その!!」


「パターン!!」


 王道。


 これもまた、王道。

 すっかり忘れていた、アイドルになる王道パターン。


 たいした志望もないのに、アイドルになるたった二つの冴えたやり方。


 家族が応募して。


 友達と一緒に応募して。


 多くのトップアイドルが、自然と口にするその二言。


 そう、あるのだ。どうしようもないアイドル力を持っている人間は、本人の意思と裏腹、アイドルになることが往々にしてこの世にはあるのだ。


「「そっちの線かー!!」」


 俺とみゆきは机に突っ伏した。

 児島くんがそっちの線だと実感してその場に突っ伏したのだった。

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