　みゆきが繰り出したインタビューはまさしく王道の一手であった。

　将棋で言う所の一手損角換わり。そう、それこそはどんな相手でも、話を引き出す魔法の一手であった。

　どうやってなったかではない。

　どうしてなろうと思ったのか。

　手段ではなく、目的から入る。

　そうすると、その目的を達成するためにどういうことをしてきたのか、エピソードとしてそれを聞く形で手段を知ることができる。

　みゆきの次の一手はこうだろう。

「なるほど、そういうきっかけだったんですね。では、その転機になったのはなんだったのでしょうか」

　行ける。

　この感じで、少しずつエピソードを引き出していけば、アイドルになる方法が分かる。

　俺は確信した。

　ぽややんとした幼馴染（みゆき）の手際に戦慄しながらも確信した。

　これでアイドルになる方法が――シンデレラガールのステップの上がり方が分かると確信した。

　しかし。

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