第20話-8

「どうしたらなれるだろうって!!」


「アイドルでしょ児島さん!!」


「……いや、なろうとおもってなった訳ではないので。話の流れというか、気がついたらなっていたというか」


「あんなに頼れるリーダーなのに?」


「そんなにリーダーできています?」


「他のメンバーは人気だけど、児島さんだけはあんまり若い子に人気がなくて、けど、おばちゃん世代から絶大な人気を得ているのに?」


「得ているんでしょうか?」


「どうやってアイドルになったか分からないんですか?」


「……分からないんですよ」


 なんてことだ。

 アイドルなのに、自分がアイドルである自覚がないだなんて。


 天然。あるいは、仕事意識の欠如。

 テレビの向こうで輝いている、児島悟志という人物は――やはり偶像だったのか。


 これがアイドル。

 今をときめく人物の現実の姿。

 やはり、近いようで絶望的に遠い――アイドルとは俗世の人間とは違うということか。


 俺とみゆきは、児島くんの回答に正直に言って戦慄したのだった。


「「「だから呼んじゃだめな奴だっていったじゃんかよ!!」」」

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