第19話-9

「分かった、分かった。超能力が欲しいのは分かった。だから落ち着け」


 呆れた顔で頬杖を突く店員さん。

 すっかりと、彼女はいつもの面倒臭いモードに入ってしまったようだ。


 この状態に入ってしまった彼女は、基本的に役に立たない。

 というか、客商売なのになんでこんな邪険な態度がとれるのだろう。

 商売人としてどうかしていると高校生ながらに俺は思う。


 もしかすると将来、俺がここの眼鏡屋の常連になるかもしれないのに。


 先見性のない店員さんだ。

 もう少し、そういうのを見越して行動するようにした方がいいと思う。


 エスパーじゃなくても、先を読まねば――商売というのはやっていけないものではないだろうか。


 はぁと溜息をこれみよがしに溢して、それからこっちを見る店員さん。

 彼女は何故かみゆきではなく俺の方に視線を向けてきた。


「超能力はいいけどよう」


「うむ」


「いいけどなんですか?」


「……は、お前にあるのか?」


 はて。


 唐突に突き付けられたその言葉の意味を、俺はすぐに理解することができなかった。

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