第18話-12

「そう、委員長の相手には対極の不良こそがもっともよく似合う!!」


「そうだったんだねタカちゃん!!」


「「「だいぶ恣意的だよ!!」」」


「そのために――俺は優等生をやめるぞ、みゆきぃぃいいい!!!!」


 ワックス(ギャッツビー)の蓋を開ける。

 そして、べっとりとハードワックスを右手で掬い取り、俺はそれを自分の髪に撫でつけた。後ろへ後ろへ、髪を撫でつけて生え際を晒していく。


「あぁ、タカちゃんそんな!!」


「男だって生え際は、出来れば触れて欲しくないデリケートゾーン!! ベ〇ータじゃなくっても、M字になっていないか気になるものだ!!」


「なのにやるってことは……!!」


「お前のためだ!! みゆき!! 全てはお前の委員長姿のため!! そのために、俺は不良にも、ヤンキーにも、若ハゲにもなろう!!」


「……タカちゃん!!」


「……みゆき!!」


「タカちゃん!!」


「みゆき!!」


「「「今回はなんかもうぶっ飛んでおかしいよタカちゃん!!」」」


 五月蠅い。

 これくらいのテンションじゃないと、生え際なんて晒せないんだよ。


 とにかく、不良と委員長のアンバランスな恋――この鉄板シチュエーションで愛情が芽生えないはずがない。


「今度こそ俺は、みゆきへの愛情を確認してみせる!!」

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