第18話-9

 なるほど――。

 そんな風に、人に対価を要求するほど、生え際を見せるのが嫌なのか。

 しかし、その恥ずかしさを堪えて、よくぞやると言ってくれた。


 まずは、その勇気に、俺は幼馴染への敬意を表しよう。


 流石は俺の自慢の幼馴染みゆきだ。


 しかし、オールバックになれとは。


「どうなのタカちゃん!! タカちゃんがオールバックになれないなら、私もおでこ出すの嫌だからね!! というか、おでこは女の子のデリケートゾーンなんだから!! ぷんぷん!!」


「ふっ、みゆきよ……ようやくお前も色々分かって来たじゃないか」


「……えっ?」


 言葉を詰まらせるみゆき。

 彼女がきょとんと眼を丸くする前で、俺は――ゆっくりと鞄の中からあるアイテムを取り出した。


 そう、それこそは。

 この時のために、俺が用意しておいたとっときのアイテム。


 ハードで速乾。

 ピッチリ決める。

 男の整髪剤。


 ワックス(ギャッツビー)である。


「俺は最初からそのつもりだっ!!」


「「「準備いいなおい!?」」」

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