　うぅん、うぅんと唸るみゆき。

　どうやらおでこを晒すことは、相当恥ずかしいことらしい。

　どうしてそんなに嫌がるのか分からないが、そこは乙女心なのだろう。

　深くは問わないことにした。

　しばらくして、ようやく決心してくれたのか、みゆきが顔を上げた。

「分かったよタカちゃん。そこまで言うなら、私、おでこを出します！！」

「よく言ってくれた！！　それでこそみゆきだ！！」

「けれどタカちゃん、私が生え際を晒すんだから、タカちゃんも見合うだけの格好をしてくれなくちゃ！！」

「……なんだって！！」

「タカちゃんもオールバックにしなくちゃだよ！！」

　顔を真っ赤にしてみゆきは言った。

　ありったけの勇気を振り絞った、そんな感じで俺に言った。

　言い切ってから、きっとこちらを睨んできた。

　あの目、本気だ。

　みゆきは本気で俺にオールバックになれと言っている。

　間違いなかった。

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