「タカちゃん、その娘と一緒に腕を組んでたよね？　私、ずっと見てたんだからね？　今日、タカちゃんが家を出てから、ずっと見てたんだから？」

「……ち、違うんだみゆき！！　本当に、浮気とかじゃなくて！！」

「浮気？　私たちは幼馴染だから、浮気も何もないよね？」

　なるほど。

　幼馴染という設定を悪用して、いろんな女の子に粉をかけている。

　そういう設定なんだなみゆき。

　なるほど許せない男だ。

　ナイスボートな男だ。

　中に何もいなくてもいい男だ。

　こっちの設定の練り込みにも余念がないあたりが凄い。そこまで練り込める構想力に、正直脱帽だよ。

　その前に、膀胱の方がどうにかなってしまいそうだけど。

　怖い、怖いよ、みゆき。

「そうだみゆき。俺とお前は幼馴染。俺がどんな女といちゃつこうと関係ないだろ」

「……そだね。幼馴染だもんね」

　ふっと、みゆきが俯いてその表情を隠した。

　何かが来る。

　直感的に俺は身構えた。

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