第17話-9

「……タカちゃん。誰、その娘」


 背中に走る悪寒が確かにあった。

 いつものぽやぽやしたみゆきの声とは違う――凍ったような声の響き。


 ヤンデレヒロインが背負っているまがまがしい瘴気。


 決して、浮気を見つけた女の子という形容だけで済まされない、圧倒的な威圧感。それを発してみゆきは俺に視線を向けていた。


 完璧。


 目に光はない。

 表情筋も固まったように動かない。

 能面のような顔が見ていた。


 完璧な顔つくりである。


 いいぞみゆき。

 それはちょっと、男の俺でもぞっとするそんな顔だ。


 間違いのないヤンデレだ。

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