13 大ピンチ!
ようやく
今日もいろいろとあったけど、なんとか無事に終わりそうだ……。
ボクは
ナンバー
カラフルな文字で「ななみんラブラブ☆キュンキュン♡愛してる‼」と書かれたステッカーをボンネットにはっている車がナンバー7さんの愛車だと周作さんからあらかじめ聞いていたので、すぐにわかった。あの車に乗るのは、ちょっと
「ナンバー7さん、お待たせしました」
「ノゾミちゃん、おかえり。
「今日は
「わかった。深雪ちゃんが来たら、
葉月は夕方近くまで学校のグラウンドで友達と遊んでいるから、いつも帰りが遅いのだ。ボクは「わかりました」と言い、車に乗りこもうとした。
「ノゾミちゃん。
「そんな
「オレの
「いやいやいや!
「そこはプロだから、ヒトに見られない
「めちゃくちゃ
「ヒトに見られそうになったら、あわてて
「あわててるじゃん! ぜんぜん工夫してないじゃん! 安心できないよぉ~!」
はぁはぁはぁ……。ぜ、全力でツッコミを入れたらつかれた……。
「おい、ノゾミ。ちょっと落ち着け」
「なにさ、俊介。今はタタリ王子がいないんだし、ノゾムって呼んでくれていいよ」
「そんなことを言っている場合じゃない。さっきから、どこからともなく、おまえの母さんの歌声が聞こえてきているんだ」
「え? お母さんの歌声?」
ボクや姫乃ちゃん、ナンバー7さんは、耳をすましてみた。
♪明日はきっと幸せな日だわ だってあなたと初めてのデートだもん
おニューのワンピとオシャレな
いつもとちがうステキなわたしになるの
バキューン♪ バキューン♪ あなたのハートを
バキューン♪ バキューン♪ あなたのハートを狙い撃ち♡
「ほ、本当だ。これは……オレのお気に入りの曲『あなたのハートを狙い撃ち♡』じゃないか!」
「わたしも父ちゃん……げふん、げふん、お父さんからノゾムくんのお母さんの歌を何十曲も
「……息子としては、若いころとはいえお母さんのこんな
「ふ、ふおおおおおーーーっ‼ ななみーーーん‼」
うわっ、ビックリした‼
ナンバー7さんは
「ち、ちょっと、ナンバー7さん! 校門の近くで
ボクがそうさけぶと、近くにひそんでいた服部重蔵さんが音もなくボクたちの前にあらわれた。ひと目で忍者だとわかる忍び
「
そうだよ、ナンバー7さん。早くその不審行為をやめてよ!
「……ずるいでござるぞ! それがしもまぜるでござる!」
そう言うと、服部重蔵さんまでもがサイリウムを
ナンバー7さんの大好きなお母さんの歌『あなたのハートを狙い撃ち♡』が終わると、すぐに新しい歌が流れ始めた。
♪みんなにはナイショなの デートの相手がみんなのあこがれの
本当は
だから今日は放課後お
わたしと先輩だけが知っているわたしたちの関係♡ 友達にもナイショなの♡
「こ……これは、服部重蔵さんが大好きな、ななみんが十七歳の時に発表した名曲『放課後お忍びデート』!
友達にもナイショなの♡というかわいい
姫乃ちゃんが
姫乃ちゃんも、父親の周作さんにお母さんのライブの
「おい、ノゾム。これは
「う、うん。早く三人を止めないと、学校の前に
「ちがう、そうじゃない。おまえのボディーガードのななみん
「えっ! これ、ウラメシヤ王国のしわざなの⁉」
「わ、わ、わ。タタリ王子怒っていたから、何をされるかわかったものじゃない。早く逃げなきゃ……」
「フフフ……。もう遅いぞ、ノゾミ!」
「え⁉」
タタリ王子の声が聞こえたと思った次の
「う、うわぁーーー⁉」
「ノゾム!」
俊介がボクを助けようとしてくれたけど、今度は空からカナ・シバリさんが降りて来て、「王子様の邪魔はさせません!」と言って俊介の前に立ちはだかった。
空を見上げると、ヘリコプターが
カナ・シバリさん、あの高さから飛び降りたの⁉
「痛い目にあいたくなかったら、そこをどけ!」
「痛い目にあうのは、あなたのほうです」
だ、ダメだ、俊介! いくらケンカが強い俊介でも、カナ・シバリさんには勝てない! さっきの身のこなしを見たら分かる! この人はタタリ王子を守るために、ものすごくきたえているにちがいない! きっと、その実力はななみん親衛隊に
「これでも、くらえ!」
「フッ……。そのていどの動きでは、このカナ・シバリをたおすことはできませんよ?」
俊介がくりだしたパンチをカナ・シバリさんはあっさりとかわし、「次はこっちの攻撃の番です!」とさけんだ。
「ぐ、ぐわぁーーー!」
あ、ああーーーっ! しゅ……しゅんすけーーーっ‼
俊介はカナ・シバリさんの
「し、しまった!
「それがしも忍び刀で
「しかし……ななみんの歌声がまだ終わらない……!」
「それがしたち、ななみんの歌声が聞こえたら
ナンバー7さんと服部重蔵さんが
ボク、あんたらの子供になったおぼえはないから!
「ノゾム……げふん、げふん、ノゾミちゃんはわたしが守ります!」
姫乃ちゃんが、タタリ王子の前なので「ノゾミ」と言いなおし、カナ・シバリさんに
よかった、姫乃ちゃんはななみんの歌声の
「くらえーっ!
それ、護身術じゃないよ⁉ 姫乃ちゃん、それは
「ぬ、ぬわっ⁉ ぎりぎりでかわしたはずなのに、
姫乃ちゃんのかかと落とし(なんか、風を巻き起こしていたけど……)をかわしたカナ・シバリさんは、目にも止まらぬ連続パンチ、連続キックをくりだした。しかし、姫乃ちゃんはそのすべての攻撃を
「四十八の笑美流護身術のひとつ……飛び
「な……⁉ う、動きが早すぎてかわせな……ぐはぁ‼」
姫乃ちゃんの
「くっ……! ただの女子中学生が、まさかわたしにダメージをあたえるとは……」
カナ・シバリさんは、ピザをむしゃむしゃ食べながらくやしがる。
「ふっふーん! どうだ! わたしの護身術の味は! これでもわたしは笑美道場の
その道場の娘さん、もはや人間ではないのでは……。
「日本の護身術、おそるべし……。だが、勝負はこれからです!」
だから、それは護身術じゃ……。
ああ……だんだんツッコミを入れるのがつかれてきた。ていうか、知らぬ間にバトルもののマンガっぽくなってきちゃったよ……。
「フフフ。あの
「た、タタリ王子⁉」
いつの間にかボクの
「おまえが悪いんだぞ、ノゾミ。おまえがオレの思いどおりにならないから、おまえを鳥かごの中に閉じこめなくてはいけなくなったじゃないか……」
「ひ……ひぃぃぃぃ! やっぱり、その
タタリ王子が指をパチンと鳴らすと、黒ずくめの男たちが十人ほどぞろぞろとあらわれてボクを
だ、だれか、助けてーーーっ‼
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