14 とらわれの姫君?
ボクは
こっそりスマホで
しばらく移動した後、
なにも見えず、自分がどこにいるのかさえわからない。ものすごく不安だ……。ボクはいったいどうなっちゃうのだろう。
「こ、ここはどこですか? ボクをどうするつもりですか?」
「そんなに不安がらないでください。……着きました」
ようやく目隠しがはずされ、ボクは
「しばらくの間、ここでおすごしください」
カナ・シバリさんがボクにそう言った。どうやら、手を引いてボクをここまで連れて来たのは、カナ・シバリさんだったらしい。
カナ・シバリさんが着ているスーツはあちこちがボロボロだった。
「しばらくって……いつまでですか?」
「出国の手続きがすむまでです。日本にもっと長い間とどまる予定でしたし、日本国民の少女が
「……え? そ、それって、ボク……ごほ、ごほ、わたしをウラメシヤ王国に連れ去るっていうことですか⁉ さ、さすがにそれは、
「ですから、いろいろと根回しをしているのです」
マジですか……。で、でも、綿堂総理大臣もさすがにそれは許さないでしょ。さすがに……。
――わたしはそんな
ボクは綿堂総理の
ああ、うちの国の総理大臣の名前が「メンドウ・スキゾウ」だったらなぁ……。
☆ ☆ ☆
ノゾムが
姫乃と
「それは大変だわ! 急いでノゾムくんを助けなきゃ!」
と口をそろえて言った。
「でも、宮妻くんは今どこにいるのかしら?
ミイちゃん先生が首をかしげると、俊介が「たぶん、それはないでしょう」と言った。
「ウラメシヤ王国のヤツらは
「たしかに、そうよねぇ~。ウラメシヤ王家のことだから、他にも日本のどこかに別荘を建てているかも知れないわ。でも、どうやって探せばいいのかしら? ネットで調べたらのっているかな?」
糸子がスマホを
「あの……総理大臣に聞いてみたら、わかるのでは?」
そう言いだしたのは、真奈美だった。真奈美は
「おお~、なるへそ! 綿堂総理だったら、ウシミツドキ国王に
「だいじょうぶだよ、糸子ちゃん。元はといえば、綿堂総理が『面倒ごとは嫌だから』っていう理由でノゾムくんに
姫乃が
「……そ、そうね! 首相官邸に電話をしてみましょう!」
ミイちゃん先生は、ちょっとへこんでしまった職員室の壁をおびえた表情でチラチラ見ながらそう言い、首相官邸に電話をした。
電話に出た女性職員に「わが国のトップシークレットの少女の件で、総理大臣にお話があります」と言うと、すぐに綿堂総理につながった。
「もしもし! 総理大臣ですか?」
「なんだね、君は。なぜ、日本国のトップシークレットの少女のことを知っているんだ」
「わたし、ノゾミちゃん……
「ああ……昨日電話で話した宮妻ノゾムくんの先生だったか。実は、わたしもさっきそのことを知ったんだ。電話でウシミツドキ国王から『あなたの国の少女をわが国に
「誘拐です! どこからどう見ても、これは立派な誘拐です! どうか、ウラメシヤ王家が日本で
「ま、待て、待て! わたしがそれを教えたら、どうするつもりだ?」
「もちろん、ノゾムくんを取りもどします。無理やり連れていかれたのだから、なんとしてでも助けないと」
「う、う~む……。どんどん面倒なことになってきたぞ。宮妻ノゾムくんをめぐって外交問題に
「でも、このまま
「え? ああ、そうか……。でも、
ドスン! ドスン! ドスーン!
姫乃が
「……許さない。ノゾムくんがピンチなのに協力してくれないなんて、絶対に許せない。…………許さねぇぞ……」
「お、おい。
俊介がドン引きしながらも姫乃にそう言ったが、姫乃の耳には届いていない様子だった。
「ゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせないゆるせない‼」
ドスーン! ドスーーーン! ドスーーーーーーン‼
「う、うわぁぁぁ! 職員室の壁がぁぁぁ~!」
「ヒメヒメちゃん、ストップ! ストーーーップ!」
糸子と真奈美がそうさけんで姫乃を壁から引きはなそうとしたけれど、ビクとも動かず、姫乃の壁パンチは止まらない。
「さ……さっきからなにかすごい音が聞こえるが、どうしたんだ?」
「あの……綿堂総理。おとなしくウラメシヤ王国の別荘の場所を教えたほうが身のためだと思います。明日あたり、総理の体に穴が開くかも知れません」
「え……? そんなおどし
「いえ、本気でヤバイです。うちの教え子、けっこうヤバイ子たちがそろっているので」
ミイちゃん先生は、ベコボコになってしまった職員室の壁を横目に見ながら、そう言うのであった……。
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