12 トイレ問題再び
その後も、タタリ王子は
お昼休みには、「タタリ王子の
服部重蔵さん、まさかタタリ王子を
ミイちゃん先生が「が、外交問題が……」と心配していたけど、
「さすがにそれはやりすぎだわ! いくら王族だからって、わたしのかわいい教え子をこわがらせるなんて許せない! ノゾミちゃん、何か
小さな体をふるわせながらプンプンと怒ってくれた。
いつもは小動物みたいにかわいいのに、いざという時は
お母さん、お姉ちゃん、姫乃ちゃん、ミイちゃん先生……ボクのまわりにはどういうわけかたくましい女性が多いなぁ~……。
「ノゾミ。さっきからモジモジして、どうしたんだ?
お昼ご飯を食べた後、ボクが自分の席に
「だいじょうぶだよ。どこも悪くない」
ボクは笑顔をつくってそう答えたけど、実はぜんぜんだいじょうぶじゃなかった。実は、昨日と同じようにおしっこをがまんしていたのである。
くっ……。どちらかというとトイレが近いタイプのボクが学校で一日中トイレをがまんするのはやっぱり
でも、女の子のかっこうで男子トイレに行ったらパニックになってしまうし、タタリ王子に見られたら
いつまでこんな
一度、ミイちゃん先生に
「ノゾミちゃん! また
「み、
「ノゾミ、いる?」
「え? お姉ちゃん、どうしたの? ここは三年生の教室じゃないよ」
「そんなの知っているわよ。あんたに用事があって来たんだから」
ボクたち姉弟が会話していると、教室のクラスメイトたちがざわざわとさわぎはじめた。
ファッション
男子たちはお姉ちゃんのボクとはちがった
女子たちはお姉ちゃんにサインをもらおうと、
水野さんや
ちなみに、このさわぎの
「ボクに用事って、なに?」
ボクはモジモジしながらお姉ちゃんに聞いた。
お姉ちゃんは、しばらくの間、そんなボクの様子をじろ~りと
「もしかして、と心配して様子を見に来たら、やっぱりトイレをがまんしていたのね。いっしょに来なさい。お姉ちゃんがトイレまでつれていってあげるから。がまんは体の毒よ」
「え、え、え。ちょっと待って。でも、ボクはどっちのトイレにも入れな……」
ボクはそう言いかけたけれど、お姉ちゃんに無理やり立たされて、そのまま
「お、お姉ちゃん。男子トイレはまずい。タタリ王子に見られたら……」
「わかってる。女子トイレにレッツゴー!」
「で、でも、女子トイレに入る勇気が……」
「お姉ちゃんがついていてあげるから、安心しなさい。『女子トイレ 姉と入れば こわくない』という有名な
「ないよ‼ そんな川柳ないから‼」
なんて会話をしている間に、女子トイレの前についてしまった。
お姉ちゃんは「ここで待ってなさい」とボクに言うと、女子トイレの中に入っていき、
「ごめんねぇ~! うちの妹がいまからトイレを使うから、ちょっとの間だけ外で待っていてくれる? 本当にごめん!」
なんと、トイレの中にいた女子たちをみんな
「ノゾミちゃん使用中」
と書いた紙を
「え、遠慮なく使いなさいって言われても、廊下で女の子たちがボクのトイレが終わるのを待っていると思うと、恥ずかしくて用を足せないよぉ~!」
「いつまでも
お姉ちゃんがそう言うと、廊下にいる女子たちも「ノゾミちゃん、がんばってぇ~!」と
なにをどうがんばれっていうんですかぁ~!
あ、あうう~、恥ずかしいよぉ~!
このままだと恥ずかしさのあまり死んじゃいそうだったので、ボクは意を決してトイレの
じゃぁ~~~!
「ふ……ふぅ~。スッキリ……」
「ノゾミ、よくがんばったわね。えらい、えらい」
こ、子供じゃないんだからやめてよ、お姉ちゃん。
……と思ったら、姫乃さんら女の子たちまでパチパチパチと
は……恥ずかしい‼
トイレの問題は、
「これからも、一人で女子トイレに入れないうちは、お姉ちゃんがトイレにつれていってあげるから
や、やめてーーーっ‼
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