光を抜けて〜
光がおさまり目を開けると、
「え、ここどこだ?っていうか、今、俺たち落ちてる!?」
俺の体はまっすぐ地面へと向かっている 幸い高さは、せいぜい3階くらいからだ、
おそらく、真白は助かるだろう……。俺は意を決して目を閉じた。 そして数秒後、背中に激痛が走る。
「ガッ」
息が、できない、霞む視界の中で真白はなぜか涙を流している、そんなに泣くな、
笑顔の方がお前の綺麗な顔には似合うぞ。
声にならない思いをつぶやき俺は意識を手放す。
「んー、こ、ここは………俺は……確か、真白を庇って……」
目がさめると見慣れない天井が目に映る。起き上がり辺りを見回すと一人の女の人と小さな女の子がいた。
それを確認すると、俺は足に重みを感じ、目を向ける。
すると、そこには涙を流してこちらを見つめる真白がいた。
俺と目があった瞬間、真白は俺に抱きつき、泣きながら言った。
「ゆき、と、雪十ーー!わだぢのぜいでゆぎどがじんじゃうんじゃないがっで、じんぱいでじんぱいで!
わだぢをがばっだぜいで、いっぞわだぢがじんだほうがよがっだっでおもっでーー!」
「ま、真白。俺は、生きてるのか?もう死んだと思ったが………」
「ほんどによがっだよーーー!」
「そんなに泣くなよ、ほら俺はこうやって生きてる。大丈夫だから、もう泣くな」
「うん」
真白は涙を拭い返事をする。
「あのー、感動の瞬間を遮って悪いけど、もうそろそろいいかな?」
さっき視界に入ってきた女のひとが、話しかけてきた。
「は、「「はい」」
真白が勢いよく離れていった。そんなに俺に抱きつくのが恥ずかしかったのか?
案の定、顔を赤くしている。ついでに、拭い損なった涙をぬぐってやる。
「ありがと」
真白が小さくお礼を言った。気を取り直して真白に女の人のことを聞く。
「真白、この人は?」
「この人はロイカ=ミランダさん、雪十を介抱してくれた人よ」
「俺は、白峰雪十と言います。ミランダさんこの度は本当に有難うございました」
「ロイカでいいわよ、ユキト君」
「えっと、ではロイカさん。どうやって俺を助けたのですか?もう死ぬんじゃないかと思ってましたが」
「どうやって助けたかは簡単よ、死にかけてたあなたに治癒魔法を施したの」
「ん?治癒魔法ですか?」
治癒魔法。ゲームや小説などで聞きなれた言葉だが、これはもしかすると……と、思い、結構前に小説で読んだ、異世界マニュアルを頭の中で開く。こんな時の自分の適応力に自分でも驚く。
まず第一に、現在地の確認だ。
「ロイカさん。ここはどこでしょうか?できれば地図で位置する場所を教えてください」
「地図で位置する場所ね?」
「はい。そうです」
ロイカさんは傍にあった宝のありかが描かれているような古めかしい
地図を取り出しながら言った。
「じゃー簡単に説明するとなんだけど、ここはアルケニア王国の南西部に位置する場所よ」
ロイカさんが地図を指差し説明する。
「アルケニア王国?なにそれ?」
真白がもっともなことをいう。
だが俺は予想どうりだと思った。聞きなれない国の名前、それに、窓の外に広がる森とその奥にある天にも届きそうなくらい巨大な樹木、よほど大きいのか雲を突き抜け、頂は見えない。それにさっきも出た魔法という言葉、それだけで俺はきずいた、ここは俺たちがいた世界ではないと。
「あなたたち、アルケニア王国のこと知らないの!?」
ロイカさんの驚き方からすると結構主要な国なようだ。
「「す、すみません」」
真白も口を揃えて言う。こう言う時ってつい謝ってしまう気がする。
「別に謝らなくてもいいわよ。となると、どこから説明すれば良いのかしら………?」
ロイカさんが頭を悩ませている間に、俺はさっき考えていた異世界についての仮説をたてた。
これは、おそらく…うん、多分そうなんだろうな。
「そもそも、いったいなにが起きたのかしら……私たち…確か、雪十の家にいて…」
「一つだけ、俺たちの身に起きたことに心当たりがある…ただの仮説に過ぎないが……」
「え、本当?雪十」
「仮説でもいいわ。言ってちょうだい」
「分かりました。……おそらくですが、俺たちは、【"異世界転移"】をしたんだと思う。」
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