第4話 神のお告げ
「あぁ、そうか」
何かを悟ったように漏れたその一言は彼を蒸し暑い、ノートの置いてある机上の前に引き戻した。
「俺が、生粋の隠キャの俺がリア充の夏休みなんて、彼女とビーチなんて楽しめるわけなかったのか。」
失意に塗れたその言葉の数々は彼を絶望のどん底に突き落とした。
「でも、あれは海だったからな。泳げないのは知ってたし、陸上でなら俺も真の力を発揮できる!そうだ。」
彼は性懲りもなくノートに手を伸ばした。
ポワン!
時は夏の宵闇、赤く灯された提灯の照らす神社の境内で彼は一人佇んでいた。
「よし!今度は夏祭りだ。これなら彼女と二人きりだし、俺でもうまくやれるはず。」
「おまたせー、まった?」
見計らったかのように先程は一見変わったおとなしめのひかえめだが十分可愛い彼女が待ち合わせにやってきた。
「よし!イメージ通りだ。」
この男、先程の海での失敗を基にまず、あれは少し彼女がチャラチャラしていたことが問題だと考え、全体的に年齢を少し下げ、中学2年生くらいにし、彼女の性格や風貌も控えめでおとなしくしたのである。
「ん?イメージ通り?なに?」
「いや、なんでもない。いこーぜ。」
そうして二人は階段を下り、屋台で賑わう通りをひたひたと歩いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます