第4話 神のお告げ

「あぁ、そうか」

 何かを悟ったように漏れたその一言は彼を蒸し暑い、ノートの置いてある机上の前に引き戻した。

「俺が、生粋の隠キャの俺がリア充の夏休みなんて、彼女とビーチなんて楽しめるわけなかったのか。」

 失意に塗れたその言葉の数々は彼を絶望のどん底に突き落とした。

「でも、あれは海だったからな。泳げないのは知ってたし、陸上でなら俺も真の力を発揮できる!そうだ。」

 彼は性懲りもなくノートに手を伸ばした。

 ポワン!

 時は夏の宵闇、赤く灯された提灯の照らす神社の境内で彼は一人佇んでいた。

「よし!今度は夏祭りだ。これなら彼女と二人きりだし、俺でもうまくやれるはず。」

「おまたせー、まった?」

 見計らったかのように先程は一見変わったおとなしめのひかえめだが十分可愛い彼女が待ち合わせにやってきた。

「よし!イメージ通りだ。」

 この男、先程の海での失敗を基にまず、あれは少し彼女がチャラチャラしていたことが問題だと考え、全体的に年齢を少し下げ、中学2年生くらいにし、彼女の性格や風貌も控えめでおとなしくしたのである。

「ん?イメージ通り?なに?」

「いや、なんでもない。いこーぜ。」

 そうして二人は階段を下り、屋台で賑わう通りをひたひたと歩いていった。

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