第4話
「おーい 朝ですよ~」
隣から緑の妖精さんの声が聞こえる…… でも私はまだ眠たい。 できればもう少しだけ寝させてもらえないかと妖精さんにこう伝える。
「あと10分……」
「わかったわ。 それじゃああと10分ね。 10分たったらまた起こしに来るわ」
妖精さんはそう言うと出ていったのか、玄関のドアがパタンとしまった音がした。
やった…… まだ寝られる。 残り短い睡眠時間を存分に満喫するために私はいまだに襲ってくる眠気に意識をあずけた……
すると次の瞬間、また私の耳に妖精さんの声が聞こえてきた。
「おーい 十分たったから起こしに来たわよ~」
はやい…… いくら何でも早すぎる…… 私の体内時計は5分どころか1分も経ってないのに……
私は妖精さんに確認するために枕に沈めている顔をあげて妖精さんに聞いた。
「はれ? いまなんじですか? まだ十分たってない気が……」
「なに寝ぼけてるの? 十分どころか最初に起こした時間から二時間ぐらいたってるわよ?」
「……え? 今何時ですか?」
「今? そうね、人間界の時間なら朝の10時ぐらいかしら」
妖精さんが言った通りになると今は午前10時…… それから二時間引いたとしたら妖精さんが最初に起こしに来た時間は朝の八時になる。
でもあれ? 私、そんな時間に妖精さんに起こされた記憶が無い…… なんで?
「あなた起こすたびにあと十分と言って全く起きなかったのよ? もしかして自分が言ったことも覚えてないの?」
妖精さんは私を呆れる目で見ながらそう言った。 でも全く覚えがないから本当に夢現の意識で返事したのかもしれない。
あれ? それじゃあ、妖精さんは私があと十分というたびに起こしに来てくれたこと? それってとても悪いことしてる……
「妖精さん、せっかく起こしてもらったのにすいません‼ それに何回も……」
私が妖精さんに急いで謝ると妖精さんは私が何故謝っているのかわからなかったのか不思議そうな顔をして意味が分かるとクスクスと笑い始めた。
「ああ、いいのよ。 あなたに言った通り私たち妖精は基本的に自由に生きてるから基本的に暇なの。 それによだれを垂らしながらえへへと笑いながら寝ているあなたを眺めるのは楽しかったわ」
……どうやら見せてはいけない顔で寝ていたらしい。 しかもそれを出会ってすぐの人に見られたなんて……
これ以上考えると妖精さんと顔を合わせれなくなるから私はそれ以上考えるのをやめた。
「それじゃあ、奏も起きたことだし、これからどうするの? すぐに力の練習を始める?」
私はその言葉に同意の意思を伝えるためにうなづこうとした。しかし、私の体は私の意志よりも本能を優先させた。
ぐぅぅぅぅ~ 辺り一帯に私のおなかの音が盛大に鳴り響く。
……終わった。私の人生はここで終わるのだ。 だけどそれでいいのかもしれない。 だって私は人に盛大に鳴り響くおなかの音を聞かれて生きていく自信なんてない。 それに、私のおなかの音がよほど面白かったのか妖精さんは大笑いだ。
「あははは‼ まさかこんなにも大きな音がなるなんて‼ ふふ‼ おなか痛い……」
本当にこのまま私を闇に葬ってくれる人はいないのだろうか…… もしできるのであれば本当に時間を巻き戻してさっきの出来事を無かったことにしたい。
「……そんなに笑わなくてもいいじゃないですか。 妖精さんのバカ……」
「ごめんごめん、 それじゃあ、今日は私があなたにご飯を作ってあげるわ。 だから気持ちが落ち着いたら隣に来てね?」
そう言って妖精さんは隣のキッチンに行ってしまった…… 違うんです。 その気持ちは本当にありがたいけど今は何よりもその気持ちで私の心が折れそうです。
幼女転生〜異世界に転生したみたいなので全力でやりたいことをやるのです!!〜 水月 鏡花 @sisi4321
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