第3話

「さてと、たぶんあなたはその妖精の力についてまだ何もわからないと思うわ。だから私たちで力の扱い方を教えてあげる」


「本当ですか? でも妖精さんたちにも都合が……」


「大丈夫よ。 私たち、基本的には自由に過ごしてるから。 それにウメェール様の力ならだれかが教えてあげないと扱えないままになっちゃうわ。 でも力の本質は同じだからそんなに難しくないから安心してね」


 その言葉を聞いて私はほっとした。 強大な力を急に渡された私だけど、もし一人で生活していて何かが起こることが考えた中で一番最悪なストーリだったからだ。 その点、力の扱い方さえわかれば自分で制御できるようになるから、大丈夫だ。


 力というものに対して一番怖い事は未知であること。 例えば普段から使う火や電気、水など。 普段から使っているせいかそんなに恐ろしいものには感じない。 だけど、使い方を誤ってしまうと災害につながったり、事故が起きたりする。 そして人命を容赦なく奪ってきた。 つまり、普段から使っているものに対してもある程度の知識はいるというわけだ。


「妖精さんたち、これからよろしくお願いしますのです」


 私が妖精さんたちにそう言うと、一番大きな緑の妖精さんはよろしくねと答えてくれ、それ以外の妖精さんたちは私の手をギュッと握ってくれた。


「それじゃあ、力について教えるのも大切だけどあなたの住むところを準備しないとね」


「住むところですか?」


「ええ、さすがにずっと外では暮らせないでしょ? それにあなたの体は小さくなっているから多少なりとも疲労が溜まっているはずよ。 だからしっかり身体を休める場所が必要よ」


 緑の妖精さんの言う通り、少し身体が怠くなっていた。 


「でも、住むところっても、いったいどこに?」


「それなら大丈夫よ。 私たちの力を作って新しく家を作ってあげるから。 それにちゃんとあなたが住みやすい家を作ってあげるから楽しみにしてていいわよ。 その間、あなたには私たちがどうやって力を使っているかを教えてあげるから、しっかり覚えてね」


 それからは、妖精さんたちが花の咲いていない場所に家を建てていた。 その間に私は緑の妖精さんに妖精の力についていろいろと教えてもらっていた。


 ・妖精の力とは自然の一部を自分のイメージを形にして使うものらしい。 妖精さんたちは皆、それぞれ扱えるものが違っていて、たとえば緑の妖精さんは緑に関するもの。 草や木など、赤の妖精さんは炎を扱える。 そんな風に妖精さんたちは扱えるものによって色が決まるらしい。 そして、一人の妖精では扱える力は微々たるものだけど、同じ色の妖精さんたちが集まると使える力が大きくなるらしい。 つまり、大きな力を扱うには数人の妖精さんたちがいないとできないということだ。


 これは補足だけど、色の違う妖精さんが一緒に力を使うと、普段では扱えないものも扱えるようになるらしい。 例えば青の妖精さんと赤の妖精さんが一緒に力を使うと煙を扱えるようになるらしい。 私が思うに水蒸気の事かな?と思ってたりする。


 ただ緑の妖精さんの話だと色の違う妖精同士では反発することがあるらしく、力が反発してしまうと力が一時的に扱えなくなるらしい。 だからよほどのことが無ければ色の違う妖精同士で力を使うことはないみたいだ。


 そして私が持っている力はウメェ―ル様の力だと緑の妖精さんは言っていた。 ウメェ―ル様とは妖精の中でも一番偉い人で、とても優しい方らしい。 このウメェ―ル様の力は自然のすべてを思い通りにできる。


 だからこの力を使う中で一番大切なのはどんなふうに力を使いたいかのイメージらしい。 あとは、言葉にして使うのも一つの手段みたいだ。


 ただ今回みたいに簡単な作業をするときは難しく考えずに力を使えばいいと教えてもらった。


 私が緑の妖精さんにいろいろと教えてもらっている間にほかの妖精さんたちが家づくりを終わらせて、立派な家が完成していた。


 家の中に入ってみると、床には絨毯が敷いていて、家の奥側には暖炉があった。そして真ん中には大きなテーブルが置いてあり、座れるように椅子も完備されていた


「すごい…… この家を本当に私が使っていいのふえたですか?」


「もともとあなたのために作ったのだか使ってもらわないとそっちのほうが困るわ。 それとベットのほうは隣の部屋に置いてあるから見てみてね。 それじゃあ明日からは力を実際に使ってもらうから頑張ってね?」


「え? 明日って…… それにまだお昼ぐらいなんじゃあ……」


「ああ、そういえば言ってなかったわね。 ここは夜にならないからずっと明るいままなの。でも人間界のほうではもう夜の遅い時間になっているはずだわ。 だから今日はもうおしまい。 あなたもしっかり休みなさい」


 そう言って、妖精さんたちは外に出て、行ってしまった。 そうか、もう夜なんだ。 私は隣の部屋に置いてあるベットに寝っ転がると今までの事とこれからのことを考えていた。


「本当に異世界に来ちゃうなんて思わなかったのです…… それにこんなに大きな力ももらっちゃって。 でも体は小さくなって九才ぐらいになっちゃっいましたけど…… 私はこれからどうしたらいいのでしょうか……」


「なんだか眠くなっちゃいました…… 今日はもう寝ちゃいましょう……」


そうして私は気が付いたらねっちゃっていたのです。

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