第16話 家族

私がK君とバァバと一緒に暮らすようになって、はや2年以上が過ぎた。

ここでの暮らしがスタートした時、2歳半だった私が今はもう5歳だ。

日常は相変わらず、毎日平凡だが、楽しい毎日を過ごしている。

ここでの生活で、私のお世話がないがしろにされた事は1度足りともない。

K君は、私と暮らし始めてから1日も外泊した事すらない。

今ではすっかり仲良しになったバァバが色々と世話を焼いてくれるけれど、朝晩必ずペロペロの挨拶とご飯とおやつだけはK君が完全に担当者だ。自分の体調が悪くても、欠かす事なくやってくれている。

お散歩も、K君の帰りが遅い時だけはバァバが連れてってくれるけど、9割方はK君と一緒に歩く。

トリマーさんも必ず2ヶ月に1度は連れて行かれるし…。混合ワクチンも予防接種も毎年欠かさず連れて行かれる…。

行きたくはないけれど、私の為にやってくれているのは知っている。

私の部屋には温度計が置かれ、暑ければクーラーが入り、寒ければ赤外線ヒーターが用意される。電気代なんておかまいなしだ。

K君のスマホのアルバムは私の写真や動画で溢れかえっている。

それをわざわざSNSで投稿し、私を自慢したりしているような始末だ♪

また、その他愛もない記事を見て、私を褒めたり応援したりしてくれる方達まで居てくれるようになった。

いつからか、私の優先順位が一番みたいな家庭になっているんだ。

私のお世話を欠かさず、私を不安にさせない、K君とバァバとの生活…。

私はここに来てから不安に襲われた事がない。それは信頼出来る人が側に居るから。

そうなんだ、私が心の底から本当に欲しかったのはこれだ。

私は《家族》を手に入れた。

かけがえのない家族を。


これから先も、いつもと同じありきたりで平凡な毎日でいいから、この幸せな日々がずーっと続いていきますように…。

そして、今の世の中で、不幸な境遇にいる動物達にも、いつの日か、私と同じような幸せが訪れますように…。

私はそう願いながら、毎日を『家族』と共に暮らしている。

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