第15話 新しい日常

私とK君とバァバの新しい暮らし。

毎日のルーティーンはこんな感じ…。

まずはバァバが朝イチに私の部屋のカーテンを開けに『おはよう♪』ってやってくる。

程なくしてK君がやってきて、しばらく一緒に戯れると、ご飯とお水が用意されて、朝ご飯だ。K君は昔と変わらず、私が食べ終わるまで側に居てくれる。

食べ終わると歯磨きスティックをもらって、私はまったりと過ごす。

K君がやってきて、私をワシャワシャと撫で撫でして、必ず『ナナ、行ってきます♪』と声をかけてから外出する。習慣だね♪

今までと違うのは、バァバが居る事。

最初のうちは、バァバも扱い慣れない私には手こずったみたいだが、いつの間にやら、私とバァバはすっかり仲良しになった。

当然と言えば当然だ。バァバのほうがお家にいる時間が長いんだもの。

今では一緒に昼寝もするし、ナイショで果物もお裾分けしたりしてくれる。

K君が帰宅すると、すぐさま私のお散歩に出発だ♪これまで長らくご無沙汰だった念願のお散歩。このお家に来てからは、夏の暑い日と雨の日を除けば、ほとんど毎日行けるんだよ。私にとっては凄い事だ。

初めて行ったお散歩の日だけは、私は道も知らないからK君が誘導してくれたけど、お家に着いた時に、玄関先で立ち尽くしてしまっていた。

『さぁナナ、ここナナのお家やん、着いたんやで♪ただいま~やで♪』

K君が私に言って、玄関へと促す。

そう、もうここが私のお家、私の帰る場所なんだ!私はその日ばかりは心の中で『ただいま~』と叫んで、玄関に飛び込んで行った。

今では、玄関が見える手前から、するすると曲がって自分から玄関へ向かうよ♪

そしてシートでゴシゴシしてもらってからお部屋へ入り、トイレを済ませる。

それからしばらくしたら晩ご飯だ。

朝ご飯と同じ光景で食事を済ませ、寝るまでの時間をバァバとテレビを見たり、K君とおもちゃで遊んだりしながら過ごす。

豆球電気になったら、『おやすみ♪』だ。

ざっくり話せばこれが私の今の毎日。

無事に狂犬病予防接種も受け、畜犬登録の上でも、私は今や正式にK君の家の一員だ。

毎日、不安なく過ごせる有り難さは、以前の私が忘れていた当たり前の日常に戻っていたんだ。




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