第14話 新生活~第二章~

K君のお家での新しい生活が始まった。

まず困惑したのは、ゲージが無い。

『このお部屋のどこでもナナの好きに使っていいからな♪』

??ホントに??いいの??

『それからな、明日、ナナのお買い物をいっぱいしてくるから、ごめんやけど今日だけこれで我慢してな♪』

それは無理もない。私が車で連れ出された時にはもう真っ暗だったもの…。

いっぱいいっぱい遊んで、夜も更けてきた。ぼちぼち寝る時間だ。

ここでまた困惑した。てっきりK君と一緒に寝るとばかり思っていたからだ。部屋は別々だって…。

私は一緒に居たくて、何時間も鳴いて呼んだけど、誰も来てくれなかった。不安が吹き飛んだ分と鳴き疲れた分が重なって、私は眠りに落ちていった。

翌朝…。

『ナナ、昨日は長い間鳴いてたなぁ。寂しかったん?ごめんな。慣れてもらう為に、俺も辛抱したんや。お家に一緒に居るからな。何も心配ないからな。これから先ずーっと一緒やからな♪』

長い時間、いっぱいお話してくれた。

まぁ話の中身は通じてないんだけど、不安が消えて無くなってたから、私は朝から元気に飛び跳ねて遊んでもらった。

途中、何回もバァバが覗きに来た。バァバはK君のお母さんだ。初対面ではないけれど、数回会っただけだったから、私はまだ警戒してしまっている。

実は、バァバは私を迎え入れる事にあまり乗り気ではなかったらしい…。いいよ♪今はまだ無理だけど、いつか絶対に私がバァバを変えてやるんだ。

私はK君と再会出来た事で、安心感が生まれ、心に余裕が持ててるみたいだ。今日もご飯が美味しいな♪

その日、K君が山ほどお買い物をしてきた。

全部私の物…。ドームハウスから、ベット、マット、シーツ、おもちゃ、トイレシート、ご飯、おやつ、暖房器具、 ハーネス、リード、まぁ盛りだくさんだった。

『ナナはワクチンも行かないとあかんし、トリマーさんも行かなあかんな♪』

どうやら、ほったらかしにされてたのはすぐにわかるくらい、私はモジャモジャになってて、耳の後ろとかは毛が巻き込んでしまって結び目が出来てるくらいだったそうだ。

私はK君と暮らしはじめてすぐに、久しぶりにトリマーさんで綺麗にしてもらい、久しぶりに病院で混合ワクチン接種を受けた。

私はどちらも嫌いだけど、これは好き嫌いの問題じゃないからK君に文句を言える筋合いもなく、仕方ない…。

K君が、私の為に、当たり前の事を当たり前にやってくれただけなんだ。今までずーっと何もしてないほうが異常だったわけだ。

私のお世話をまず第一に考えてくれる…。

K君のおかげで、私は快適な空間と、飼い犬としての当たり前であろう権利をようやくと手に入れる事が出来たんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る