第8話 大きな変化
そんなこんなもありながら、私は相変わらずK君にお世話してもらっている。
大好きになるのも当然だ。
Hちゃんは私とK君を残して泊まり掛けの旅行に行ったり、夜中遅くまで帰って来なかったりと、もう完全に私の事はK君にお任せ状態だったからだ。
正式な飼い主はHちゃんなんだけど、名前だけ飼い主さんで、お散歩にも2~3回行ったかな?ってくらい。
K君とはほぼ毎日のようにせがんでお散歩してもらっていたけど。
K君はほっとけない主義というか、気を回してくれる側だったから、Hちゃんの忘れがちな料金の支払い日とか、私のトリマーさんとかワクチンとか、私のご飯やおやつの残りのストック量とか、きちんとメモしてHちゃんが気が付くようにしてあげていた。
『あぶね~、危うく電気止まるトコだった』とかよく聞いたなぁ。
私のフードなんか、K君がメモしてくれてても忘れたりして、夜中に買いに出たりとかして、私のいつも食い付くフードじゃないのしか売ってなくて、翌日にいつものがようやく食べれる…みたいな日も…。
私は完全におざなりにされてた。勿論わかってはいないけれど、最初の頃はこんな事はなかったもの。
それでも、三人同じ部屋で遊んだりする事はあったから、楽しくやってたし、私はK君が居てくれるおかげで何不自由なく暮らせていたと思う。
そんな日々も、ある日いきなり激変する。
K君とHちゃんは色々な意見の相違から、お別れする事になった。喧嘩はしてなかったけれど、一緒に生活を続けてきて、これから先、長続きするのは難しいとなったみたいだった。
一番最初に、Hちゃんに一緒に住んで欲しいと言われたから住んでいたのがK君だったから、お家はHちゃんが借りてて、K君は同居人という立場だったので、K君が荷物をまとめてお家を出ていった…。
私は全くわかってなかったから、その日、Hちゃんが出掛けた後に、K君が長い間私を抱っこしてくれて、いっぱい遊んでくれて、私にいっぱい話し掛けてくれたけれど、いつもの日常として受け止めてしまっていた。
『ナナ、もう一緒に居てあげられんけど、元気でな。ちゃんとご飯もらいや、長生きするんやで。』
K君は目をウルウルとさせながら、最後に私にそう言って、玄関で『バイバイ』とだけ発して戸を閉めた…。
いつもの、『いってきます♪バイバイ』ではなかった。私がその違いに気が付くのは、翌日以降になる。
…そう、私の飼い主は、名目上ではHちゃんなのだ…。
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