第4話 新しい出会い

私は彼女(以後Hちゃんと呼ぶ)の車に一緒に乗った。

これからHちゃん家にご厄介になるわけだが、嬉しい半面、まだ何もわからないから不安もある。

でもきっと大丈夫。私をあそこから救い出してくれたHちゃんがいるのだから。

10分も走ると車は止まった。

Hちゃんは私の装備一式を部屋へ運び入れ、最後に私を抱いて部屋へ入れてくれた。

『今日からここがあなたのお家。そしてここがあなたのお部屋。』

私専用ゲージ、中にはトイレと新品のベット、おもちゃもある、お水もすぐ飲めるようにゲージにセットしてくれた。

私は早速お家の探検を開始。

アパートだから広さはないが、自由がきくし、他の動物の鳴き声もない。快適に過ごせそうだ。

しかし、私には1つだけ気掛かりな事があった。お家に入ってから気になって仕方がない。何やら黒い布団が敷かれ、それが時折モゾモゾ動いてるんだ。

怖くて近寄れず、遠巻きから監視する。

『う~ん、調子悪くて寝てたわ。帰ってたんや、おかえり~♪』

その声と共にシーツが捲れて、オッサンが起き上がってきた!

なんだコイツわ…。

『足元に何か黒いのあるけど、何?』

黒いの?それ私か?

『チワワに決めたって電話したやろ~、さっき買ってきた♪』

それを聞いてオッサンが目を真ん丸にして私を見つめる。

『今日の今日かぃ、即決やな。反対してないからかまへんけど、相手は生きてる動物やでな、最期の時まで面倒見たらなあかんで!』

オッサンがHちゃんにそう言って、私に向かっておいでおいでをしてる…。

怖いけど行くしかない。どうせ逃げてもこのお家の中ではいずれ捕まる。

恐る恐るオッサンに近づくと、ヒョイと持ち上げられて、膝枕で撫で撫でをしてくれた。

『もう仲良しになったん?あんたお利口さんやね~♪』

Hちゃんが向こうから見ながら言ってる。

『私は犬大好きやから、そら死ぬまで面倒みるで、当たり前やん♪』

通りすがりに私を撫でながらそう言ってHちゃんは笑っていた。

その間もオッサンはずっと撫で撫でを続けている。悪い人ではなさそうだ。何故か心地よくて安心感がある。理由はわからないけれど、まだ新しいお家に来て間もないし、不安も一杯あるはずなのに、抵抗なく身を委ねていられる自分がいる。

私はHちゃんとこのオッサンと一緒に暮らしていくんだな。撫で撫でが気持ちよくて、そんな事を考えながら膝枕のまま私は眠ってしまった。



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