第3話 出会い

私はまだ専用のショーケースがない為に、相変わらずのダンボール生活。

(まだ到着して2日目だが…)

ショーケースには、チワワ以外にもシュナウザー、プードル、マルチーズ、等々。

ホームセンター内のペットショップ兼トリミングサロン。お客の大半はトリミングの為に我が子を連れて現れます。

そして、預けるとしばらくはショーケースを見て歩き、可愛いとか小さいとか誉めまくりの言葉が聞こえてくる。

私の位置は見えそうで見えてないので、私の事ではない…。しかし、そんなお客はペットを購入するはずもなく、しはらくしたら去って行く。

問題なのは、動物は連れずにインターホンを鳴らすお客。気に入った子を出してもらって抱っこしたり声をかけています。

私も、ここから抜け出す為には、まずはこの土俵に上がらなければ話にならない。

つまり、嫌だけど、ショーケースに入らないとダメって事。

だけど、好むと好まざるとに関わらず、私は地面のダンボール…。

私はダンボールの中で最大限飛び跳ね、存在をアピールしていた。そうしなければならないような気がして、無意識にやっていた。

そこへ表れた一人の女性。

この人こそが、現在と未来の私の運命を大きく変える事になる。

ショーケースには見向きもせず、『すみっこにあるダンボールから顔を出してるチワワちゃんも見せてもらえるんですか?』と尋ね、私を見せてほしいと言うのだ。

そして私はその女性に抱かれて、やたらと誉めちぎられた。

しかし、私を購入するわけではなく、検討の段階。

『明日中にお返事しますので、取り置きしていただけないでしょうか』

彼女はそう言って、私を係員に渡し、了解が貰えたみたいで、足早に去っていった。

なーんだ、飼い主になってくれるんじゃないんだ…としょぼくれてたら、その日の夕方には彼女は私を買い上げてくれた。

数件ショップを回ったが、この子以上の子ははいなかった、そう言って私の生体代金のお金を払い、私に必要な装備も一式丸ごと買っていた。

そして彼女に抱かれて、晴れて(最短だろ)私はホームセンターからの脱出に成功した。

つまり2日も居なかった事になる。

私は、彼女が神様に見えた。少なくとも彼女救われたと感じていた。

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