第2話 戸惑いと不安と
ホームセンターで迎える初めての朝。
雑にご飯とお水だけは用意されたが、それをむさぼって食べるような気分ではない。
そんな事よりも不安が別にあるからだ。
1日でも早くこの状況から脱したい、それがその時の私の一番切なる願いだった。
不幸中の幸いと言うべきか、たまたまショーケースに空きがなく、私は今日も、客からはあまり見えない位置にあるダンボールに隠れていられる事になった。
私の兄弟はショーケースに入れられ、値札までつけられているのが見えた。
ただ、忘れていたのだが、人目につかない事には買い手がつかない…。見えにくい位置のダンボールに隠れてる私には当然ながら買い手がつくはずがないのだ。
人間による購買方法は犬の私にはわからないから、ショーケースで見世物にならずに済んだ事だけを安堵していたが、これは普通に考えれば、買い手がつく順番待ちでハンデを背負わされた状態だったと言える。
しかし、それもわかるはずもない。私は単純にこの場所の把握と、何とかしてダンボールから脱出すべく、精いっぱい背伸びをして、小さい顔を出し、キョロキョロと周りを観察する事ばかりを繰り返していた。
どうにかして今の状況から脱したい、その為だけだった。
しかし、そのような不安や心配、ダンボールが置かれた場所によるハンデをよそに、このホームセンターから出られる日は、私が思いもよらない程、意外にも早くやってくる事になる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます