第191話瞳と今日子その3

 すると今日子は「最近あった例としてね……」と前置きをした上で、次のような実体験を、今日子は瞳に、話をしはじめた。

「あと最近、どう指導しようかな? って悩んでいることがあって、それは私が板書をすると、それをノートに写さずに、スマートフォンのカメラ機能で、板書の写真を撮って、話を聞くことに集中するって生徒さんが、出はじめてきていて『ああ、時代だなあ』って思っていたのだけれども、その反面、数学が苦手な生徒さんほど『書く』っていう行為自体が大事なことなのだと、私は思っているのね。現に私も紙に書いて、実際に計算練習をたくさんこなしてきたから、数学が得意な生徒さんなら、それでも良いのかもしれないのだけれども、実際にそれをやっていたのは、数学が苦手な生徒さんだったから、今後の指導をどうしようかなあ? って悩んでいることでもあるの」

「それとね……」と言って、今日子はこんな話を瞳にした。

「もし予備校に通うのならば、とにかく数学は『予習出来る教材を選んで下さい』って、いつも生徒さんには言っていることかな? 少なくとも数学は予習出来ない教材は、その生徒さんにとっては害なだけなわけだし、現に私もそうだったから……」

 こうして今日子が瞳に対して、そこまで自分の体験談を、一通りしゃべり終わったところで、ランチメニューが運ばれてきた。

 そして瞳と今日子の二人が、ランチメニューを食べ終わったところで、瞳が今日子に対して、何かを思い出したかのように、こう言った。

「あっ、そうだ! 今度ユッキーの慶応SFCの大学の学園祭で、私たちラルクの楽曲をいくつか演奏するんだよね? メンバー全員が集まって練習の機会って、もうなかなか取れないだろうから、どこまでの演奏が出来るのか、まだ全然と言って良いほど、わからないけれどもね……」

 すると今日子も瞳に対して、

「私も空いている時間には、なるべく自主的に練習はしてはいるけれども、どこまで上手くやれるかは、やっぱり当日を迎えてみないと、ちょっとわからないよね。もう皆雪絵ちゃん以外は、学生じゃないわけだからね……」

 そう返事を今日子は瞳に返して、この日の昼食と話し合いは終わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る