第190話瞳と今日子その2
すると今日子が、こんな自論を瞳に話しはじめた。
「私ね。受け持ちの……例えば私だと受け持ちの科目は数学だけれども、その受け持ちの科目の『科目の面白さを生徒さんに伝える』のは、あくまでも『学校の仕事』だと思っているの。それに対して予備校は、あくまでもその科目に対して『受験に勝つための技術を教える場所』だと割り切って、いつもそう分けて考えているのね。だからもし学校で受け持ちの生徒さんが、仮にも予備校で『その科目の面白さがわかった!』なんて直接先生に言ってきたり、あるいは友達とそんな話をしていたりしていたとしたら、学校は素直に予備校に対して『敗北を認めるべき』だと思っていて、私はそういう意識と危機感を常に持ちながら、いつも教壇に立つように心がけているの……」
そして今日子は瞳に対して、次のような自論も話しはじめた。
「それと同時に、大学受験っていくつかの科目の総合点で合否が決まるから、たとえ数学が好きだからって、数学ばかりを勉強して、他の科目は全く勉強しない……なんてことにはならないようにすることも、同時に大切なことだと思って、日々数学を教えているのね。特に若い先生ほど、自分の担当している科目ばかりを、生徒さんに勉強するように指導しがちになっちゃうそうだから、そこのところは注意して下さいって、とある『教育セミナー』で、そう教わったのね」
そこまで話を聞いた瞳が、
「その『教育セミナー』って、キョンキョンの自腹で行ったのでしょう?」
そう今日子に瞳が尋ねると、今日子からは「うん、そうだよ」と、今日子がそう答えたので、すると瞳が今日子に対して、
「そういうような高い意識というか、心構えを持っている先生に常に教わっている、キョンキョンの受け持ちの生徒さんは、本当に幸せ者だね!」
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