第189話瞳と今日子その1
結果的に大学を留年なく無事に四年間で卒業した今日子が、これまた無事に母校の高校の数学の、専任教師として採用された。それから少し経った後で、久しぶりに瞳と今日子は会うことになった。
瞳と今日子はそば屋でランチメニューを注文しながら、お互いの近況を、交換し合う話をしていた。今日子が瞳に、
「やっぱり保育士の仕事って大変なのかな? 勤め先がブラックな現場だったりはしていない?」
今日子がそう聞くと、瞳は、
「幸いにも私が勤めている保育園は、周りのほかの保育士さんたちも感じの良い人たちばかりだから、ブラックってことはないし、私自身も仕事に対してもやりがいを感じているから、上手くはいっているかな? でも最近は子どもに食べ物のアレルギーを持つ子が増えているから、給食を作るのも、一苦労なんだよね。そこは気をつけるようにしているよ。ところでキョンキョンの方は、どうなのかな?」
すると今日子は瞳に対して、返事として、
「もともとそんなに偏差値の高い学校じゃないから、実際に授業をするときは、やっぱり数学を苦手としている生徒さんに、レベルを合わせるようにしているかな? でもときたま理数系専門の塾で、先取り学習で既に学校で教える分野を、塾で習い終わっている生徒さんも、数人くらいときたまにいたりするから、そういった生徒さんには授業外で、アクロバティックな解法を見せてあげるようにして、対応しているかな?」
「やっぱり個別指導が一番効率が良いんだよね。集団授業だけだと、なかなか細かいところまでは、手が届かないからね……」
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