第188話徹夜と秀美の交際がとうとうバレる

 秀美との勝負の決着がついて、秀美と本格的に付き合うことになってから、何日か経ったある日の夜に、徹也の父親は、徹也を呼び出した。

「徹也。お前大学で恋愛とかは、していないのか?」

 そう唐突に聞かれたので、徹也は正直に、

「恋愛? ああ岩瀬秀美って女の子と、付き合っているよ」

 そう、徹也が言った途端だった、徹也の父親は血相を変えて、

「その岩瀬秀美さんって女の子は、うちの顧問税理士の岩瀬清志さんの、娘さんじゃないか!」

 徹也にとっては秀美が、うちの会社の顧問税理士の娘さんだったということは、徹也は秀美からも一切聞かされていなかった、初耳であったし、また徹也の父親も父親で、徹也がそんな女の子と付き合っていた……なんていうことは、おいおいそんなこと聞いていないぞ! という表情を、お互いがそれぞれ別の理由であれ、そういう顔付きを見せた。

「徹也お前、そんな女の子と、付き合っていたのか! なんでそれを今まで父親である私に黙っていたのだ!」

 徹也の父親はそう怒鳴ってきたが、それを聞いた徹也もカチンときたのか、今まで家族から受けてきた仕打ちを思い出して、

「別に俺が誰と付き合っていたからといって、父親には関係ないだろ! それに家族からのけ者にされている人間が、そんな細かいことまで、いちいち親や兄貴たちに対して、報告なんかするかよ!」

 そう徹也は父親に対して、怒鳴り返した。

「まあ良いさ。お前とその……秀美さんとが上手くゴールインしてくれれば、うちの会社にお前も、立派に貢献したことになるからな!」

 そんな身勝手な言葉を吐いた父親に対して、徹也も、

「うちの会社の貢献のために、俺は秀美と付き合っているわけじゃない!」

 そのように徹也も徹也で、そう怒鳴り返したが、徹也の父親は、

「うちの会社も、これでしばらくは安泰だな!」

などと言って、徹也の恋愛をまるで会社の都合の良いおもちゃのように語ったことに対して、徹也は酷い憤りを感じて、

「俺の恋愛については、俺自身と秀美という恋愛相手の問題だ! 別にうちの会社の都合の良いおもちゃの感覚で、俺は秀美と恋愛をやっているわけだとは、頼むからそうは思わないでくれ!」

 徹也はそう言ってキレた後は、それ以上は徹也は父親には、秀美とのことは何も話さなかった。

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