第38話園里と今日子が電話で話す
今日子は次に、さっきまでの雪絵とのやり取りのことで、園里に相談を持ちかけようとして、今日子は今度は園里に、相談の電話を架けた。
さっきまでの雪絵との電話でのやりとりの、ことのいきさつを、ダイジェストに今日子は園里に簡潔に話をすると、それを聞き終えた園里は、多少憤った口調で、今日子に対して次のように、
「それで、今日子は雪絵に対して、それ以上は何も言えなかったわけなのね」
と、園里が憤った口調で今日子に対してそう言ったので、今日子は、
「何もと言うか、なんていうか……雪絵ちゃんの背中を押してあげられる言葉を、かけてあげることが出来なかった……なのかな?」
それを聞いた園里は怒り半分、呆れ半分のような口調で、今日子に対して、
「今日子ねぇ……あなた仮にも教師になるんでしょう? 『優しい』と『甘やかしている』は、根本的に違うのよ!」
今日子に対してそう言い切った園里は、続けて今日子に、
「恋愛を通じて、人間関係の構築っていうものを、もう一度学び直せば良いじゃない! って、何でその一言も出てこなかったのかなあ?」
園里のお説教は、いつ、誰に対しても、強烈だ。
「怒れないで、注意が出来ないで、もしくは適切なアドバイスが出来ないで、それで教師が成り立つと思っているの? そんなの成り立つわけがないでしょうよ!」
そこまで園里に言われてしまった今日子は、完全にしょげてしまって、
「ごめんなさい」
としか今日子は園里に対して、言えなかった。園里はたたみかけるように、
「雪絵にも過去にいろいろあって、特に親のプレッシャーに押し潰されそうになったことが、雪絵にもあったのは十分私たちもわかるけれども、雪絵ももういい歳なのよ。これからは親のしがらみに縛られ続けていないで、自分の足で自分の人生を一歩一歩歩んでいかなきゃいけない年齢なのよ。時には厳しく突き放すことも大事なのよ。いくらその辺りの感情を今日子が、別人格の『ラウド・ゼロ』って人格に持っていかれているって言っても、今日子が教師になったら、教員生活のいずれどこかで、受け持ちの生徒の中で遭遇して、その生徒を解決に導かなければいけない、そういった事案でもあるのよ。今やって来たのか、将来やって来るのか……その違いなだけなのよ!」
そこまで聞いた今日子は、園里に対して、
「わかった。もう少し雪絵ちゃんへのアプローチを、変えてみる」
かろうじてそう園里に言った今日子だったが、園里は、
「時には厳しく諭すことも、今日子はちゃんと覚えなさい! 教師になるのだから、そこのところは、なおさらよ! 」
そう言って、園里と今日子の電話での話し合いは、非常に歯切れが悪い感じで、終わることになった。
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