第14話お祝いの飲み会その7
ところ変わって今日子は今度は、瞳のことを思い出した。実は瞳もまた、今度は保育士の資格が取れる四年制の大学に、入り直したのである。今日は瞳のそのお祝いも兼ねているのだから、瞳のことも労わないとと思って、今日子は瞳に、こう問いかけた。
「でも、今日の飲み会って、瞳ちゃんの大学編入のことも、祝わないといけないんじゃないかな? って、思うんだけど」
そのように今日子が瞳を気遣うと、瞳は、
「あ~キョンキョン。そんなことはどうでも良いんだよ。純粋に今日は、ユッキーの慶応の大学進学決定と、キョンキョンの二十歳を祝おうよ。それに私、次に通う大学って、実際は二年次編入なんだよね。だから前の短大で取った単位は、全部そのままそっくりは、次に通う大学では、認められなかったのだよね」
そんなやり取りをしているうちに、楽しい時間というものはいつか終わりがやって来るもので、とうとう飲み放題のラストオーダーの時間が、迫ってきたときに雪絵が、
「そろそろ……薬を……飲んでも……良いかな?」
と雪絵が言うので瞳が、
「じゃあお水頼もうか。ピッチャーで頼んだ方が良い?」
「うん……お願い……」と雪絵が言うので瞳が、
「ちょっと薬を飲む子がいるので、ピッチャーでお水を下さい」
そのように瞳が、店員さんに頼んだ。そして実際にピッチャーでお水が運ばれてきて、雪絵が薬を飲もうとしたときだった。
「ちょっとユッキー! あなたいったい薬を毎回何錠飲んでいるのよ!」
園里が雪絵が実際に医者から処方されている量の、薬を飲もうとしたときに、そう言って声を張り上げた。
「だって……これがお医者さんから言われている……薬の量だから……」
そう雪絵はこれまた力なく園里に答えた。すると園里はすかさず雪絵に対して、こう言い切った。
「ユッキーあなたね。もっと飲む薬の種類と量を減らすように、主治医の先生と、ちゃんと相談をしなさいよ! あなたのその薬の量はどう見ても、誰から見ても薬の量ってはっきり言って飲み過ぎよ! まるで薬漬けじゃない! 知らない人から見たらOD(オーバードーズ)と勘違いされても、その量だと文句は言えない量だからね!」
それを聞いた雪絵も「うん……わかった……」と言うだけ言って、その場をなんとかはぐらかした。
「お金は、今日は私が全部出しておくわよ」
当然ながら美咲がこの集まりの中では最年長である。雪絵は今まで病気の治療と受験勉強に専念していたため、まだアルバイトなどは何も経験していない(今日のためのお金は母親から貰ってきてはいたが……)また今日子もこの二年間は大学の勉強に集中するために、どこか決まった場所での正式な意味でのアルバイトは、まだ経験してはいなかったので、これは雪絵と今日子にとっては、大変ありがたいことであった。
「み~さきちゃ~ん。ご馳走様で~す♪」
美咲にそう言った瞳は、完全に酔って出来上がっている様子だった。
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