第1話 再婚!?

「春樹、ちょっと話があってな。」


そう言って、父親の克典に手招きされて、それに従うと克典はとんでもないことをいいだした。


「実はな、父さん再婚しようと思って。出水さんって人と。」


何処かで聞いた名前だった。


「それでな、向こうにもな、お前の1つ下の乙葉っていう娘さんがいるけどいいか?」


えっ!? 乙葉、出水?

うん、同姓同名の人だろ。うん。でも俺の1つ下ってとこが頭をよぎるな…。


「その乙葉ちゃんがお前の事を知ってるって言うんや。お前も知ってるんか?」


はい確信犯。


「えーと、ごめん。頭がついていかへん。あれやな、父さんが再婚して、向こうにも娘さんがいるって事やな?」


「そうや。ややこしくてゴメンな。んで知ってるんか?」


「俺もその名前聞いて思い出したわ。乙葉やろ。中学校の時の放送委員の時に同じ日やった子やわ。」


「あっそうか。まあ面識あっただけ良かったわ。向こうも楽やろうし。」


やっぱり予感的中。

高2になって突然義妹が出来るとはな。

「それでな、問題はこっちやけど。」 


またなんかややこしそうな話を持ってきた。もうおなか一杯。


「3ヶ月やけど、乙葉ちゃんと二人でこの家に住んでほしいんやわ。」


……。はぁ!?


「えっちょっと待って!?どういうこと?父さんらはどないなるんよ?」


「あのな、父さんのクソ上司にさぁ、北海道に新婚旅行がてら3ヶ月行ってこい!って言われてさぁ、まんまと引っ掛かったんや。」


「あぁあぁ。お気の毒に。」


「でもやっぱり4人で行ったら大分(金)掛かるから、二人で行くことになってん。お前らの学業にも差し障ったらあかんからな。」



こうして、父さんの再婚、それに3ヶ月二人で過ごすことを春樹は知った。


それは、春休みの中頃だった。



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