実らない愛

@kalcool

出逢い

「起立、礼。」

今日も退屈な1日が始まる。勉強して進学校であるこの学校に入学できたのは良いが、二年目ともなるとさすがに飽きる。

「…ということで各自進学先を調べておくように。」

三学期に入ったためそろそろ進学先の候補を挙げなければならない。しかし夢も目標もやりたいこともない。来週の三者面談までに調べないといけないらしい。

「あの、進路相談してくれませんか。」

とりあえず進路担当の先生に相談したらなんとかなるだろう。そう思い面談の日程を組んだ。



授業が終わり廊下を歩いていると後ろから声がした。

「あの、進路相談してくれませんか。」

慌てて振り向いたため持っていた資料を落としそうになったがそんなことは気にも止めずに日程を指定してくる。

2年生の石塚友佳だ。彼女は一回も目を合わせることなく足早に去って行った。完璧主義で努力家。人付き合いが苦手なのか、友達といるところを見たことがない。いつも遠くから観察してるようなタイプで、入学当初からずっと気にかけていた。今度の面談で進路の話もしつつ彼女の人間関係について掘り下げてみよう。そう思いながらスケジュール帳に予定を書き込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

実らない愛 @kalcool

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ